ソニーホンダモビリティーのアフィーラ

自動車

 2020年代に入ると、米国Apple(アップル)、中国滴滴出行(ディディ)、ソニーグループなど異業種分野からのEV参入が始まった。従来のEVの延長線上ではない、新たな変革が期待される。
 ソニーはデザイン・センサー・音響システム・第5世代通信(5G)・エンターテインメントなど車載システムのほか、次世代型移動サービス「MaaS(マース)」のソフト分野に集中する。

ソニー・ホンダモビリティの設立

 2022年3月、本田技研工業とBEV事業での提携を発表し、9月に共同出資会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立し、2025年には開発したBEVを発売する。共同出資会社がBEVの設計や開発、販売を手掛け、生産は本田技研工業に委託する。

 2022年10月、ソニー・ホンダモビリティは、第1弾BEVを2025年内にオンライン販売すると発表した。北米の本田技研工業工場で生産し、2026年春に北米向け、2026年後半から日本にも出荷する。自動運転は一定の条件下で運転操作が不要になる「レベル3」を目指す。

図1 ソニーが発表したSUVタイプの試作車両(VISION-S 02)

AFEELAプロトタイプの発表

 2023年1月、世界最大級のテック展示会「CES 2023」が米国ラスベガスで開催され、ソニー・ホンダモビリティー(SHM)は、新型BEVのプロトタイプ「AFEELA(アフィーラ)」を出展。
 今後、プロトタイプをベースに開発を進め、予定通り2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売する。納車開始は北米で2026年春、日本で2026年中の予定である。

 2023年10月、アフィーラ・プロトタイプは「ジャパンモビリティショー2023」で、一般公開された。5人乗りのセダン型BEVで、全長:4.895m、全幅:1.9m、全高:1.46m、ホイールベース:3.0m、駆動方式は全輪駆動(AWD)である。また、新たに「共創プログラム」が発表された

図2 2023年1月に発表されたアフィーラ・プロトタイプ 

AFEELA共創プログラム(仮称)の概要
 AFEELAを知性を持ったモビリティとして育て、ユーザーにとって唯一無二の存在、愛着を持てる存在になれるよう、従来のクルマの価値に加えて、新しいモビリティの可能性を追求していく。自社の知見だけに閉じることなく、社外のクリエイターやデベロッパーが、自由にAFEELAの上で動作するアプリケーションやサービスを開発できる環境を提供し、クリエイティビティを表現・共創できる場をデジタル上で用意する。  出典:AFEELA | 公式ウェブサイト (shm-afeela.com)

 具体的な共創アイテムに、①車体のフロント部分のメディアバーディスプレイ、②ダッシュボードのパノラミックスクリーン、③走行中のeモーターサウンドの音源、④独自の付加情報を付けたナビアプリ、⑤自由にアプリケーションやサービスを開発できる環境(Android OS)を示している。

 ソニー・ホンダモビリティーは、将来の完全運転自動化(レベル5)までを見通した新しい移動体空間の提供を目指している。幼いころからアニメ、プレステ、スマホに慣れ親しんできた世代には、魅力的と映るであろう。ただ、移動体ならではの驚くような価値はどこに見出すのか?

 2020年代に入り、BEV市場への新規参入が本格化してきた。ガソリン車の部品点数は約3万点で、BEVは部品点数が4~5割少ないことが、異業種からの参入障壁を下げている。加えて、モーターや蓄電池、半導体が中核部品となり、BEVはソフトで制御されるようになった。
 また、自動運転による新規市場の拡大がIT関連企業を引きつけており、従来の自動車の概念を超えた大変革を起こす可能性が期待される。BEV劣勢の日本メーカーを奮起させるために、テスラを超える驚きのBEV事業が現れることを期待したい。

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