日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)によれば、2020年の設置目標の160カ所はクリアし、2023年3月現在、全国で運用されている水素ステーションの数は179カ所に達した。ただし、2025年の設置目標の320カ所を達成するには、より一層の努力が必要である。
また、水素ステーションの設置は37都道府県にわたり、稼働中は167カ所である。内訳は首都圏:54カ所、中京圏:51カ所、関西圏:20カ所、九州圏:15カ所、その他:27カ所で、今後も四大都市圏とそれらを結ぶ幹線道路沿いを中心に整備される予定。
水素ステーションの設置目標
2023年6月、日本の水素基本戦略が6年ぶりに改定された。
水素ステーションの整備方針
今後の整備方針は、乗用車のみならず、商用車、港湾、さらには地域の燃料供給拠点など、より多様なニーズに応えるマルチステーション化を図りながら、需給一体型の最適配置を効果的に進める。特に、大規模な水素ステーションの整備に関しては、税制措置等を含め政策リソースを拡充する。
規制は、引き続き安全の確保を前提とし、検査・試験方法の見直しを含む合理化・適正化を進め、更なる規制見直しを通じて水素ステーションの整備費、運営費の低減に努める。2030 年度までに900基を 1000 基程度の整備目標の確実な実現を目指すと変更した。
水素ステーションの設置状況
日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)によれば、2020年の設置目標の160カ所はクリアし、2023年3月現在、全国で運用されている水素ステーションの数は179カ所に達した。ただし、2025年の設置目標の320カ所を達成するには、より一層の努力が必要である。
参考までに、全国の給油所(ガソリンスタンド)数は、2021年3月末時点で2.9万カ所である。
水素ステーションの設置は37都道府県にわたり、稼働中は167カ所である。内訳は首都圏:54カ所、中京圏:51カ所、関西圏:20カ所、九州圏:15カ所、その他:27カ所で、今後も四大都市圏とそれらを結ぶ幹線沿いを中心に整備される予定である。
2019年以降の設置動向
2019年3月、JERAが水素事業への参入を発表。東京電力フュエル&パワー、JXTGエネルギーと共同で、大井火力発電所の一角に都市ガスを改質して水素を製造するオンサイト型の東京大井水素ステーション(水素供給能力:14400Nm3/日)を設置した。
2020年8月からENEOS水素サプライ&サービスとして稼働しており、東京五輪・パラリンピック2020で導入したFCバス100台への水素供給拠拠点である。
2019年12月、東芝エネルギーシステムズと敦賀市は太陽光発電の電力により水素を製造し、FCEVに充填できるシステム「H2One ST Unit」を市内に導入し、オンサイト型水素ステーションを開設。
2020年11月、自立型エネルギー供給システムであるワンコンテナ型「H2One」を増設し、太陽光発電由来の水素供給に加え、必要に応じて燃料電池で電力供給を行う「H2Oneマルチステーション」1号機を開設した。
2021年10月、政府はFCEV普及に向け、小型水素ステーションの整備に乗り出すことを表明。既設の水素ステーションは、工場で製造した水素を運び込むオフサイト型が主流であり、充填能力は5~6台/h、整備費は約4億円で補助金を使っても事業者は約1.5億円が必要である。
そこで2022年度を目途に、設置場所で水電解により水素製造するオンサイト型を想定し、充填能力は1~2台/h、整備費は約1.5億円で補助金を使えば事業者は約0.5億円で済む小型水素ステーションを新たに補助金対象とした。初期費用が下がれば、FCEV台数の少ない地方での設置が進むと想定。
2022年8月、実証実験が終わり、福岡市は西部ガス、正興電機、豊田通商、西日本プラント工業、三菱化工機と連携し、生活排水の処理過程で発生するバイオガスから水素をつくりFCEVへ供給する水素ステーションの運営と機能強化を発表。水素価格は1210円/kgを予定している。
2022年9月、伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、日本エア・リキードは、福島県のエネクスフリート本宮インターSS隣接地に大型商用車対応の「本宮インターチェンジ水素ステーション」の設置を発表。24時間365日営業で、大型FCトラック向けに洗車、休憩のサービスを提供。2024年前半の開所を予定。
2023年4月、北海道・札幌宣言が発表された。北海道で脱炭素エネルギー基地を目指し、2030年にFCEVを3000台、FCバス・FCトラック合計約20台の導入を計画。現在、北海道には3カ所に水素ステーションが設置されているが、4カ所以上の水素ステーションの設置を目指す。
札幌市は「環境首都」づくりに取り組む。2024年夏には総額9億円で大通東5〜6丁目(商業施設「サッポロファクトリー」近隣の282m2)に定置式水素ステーションを設置し、道内初の大型車両向け水素供給拠点とし、水素を活用したモデル街区として整備を進める。
エア・ウォーターが、充塡能力:約15kg/10分、非常時対応で2レーンを設置。水素調達は北海道曹達から行うが、石狩市で稼働予定の洋上風力発電で製造したグリーン水素の調達も視野に入れる。
水素ステーションのあり方が、従来の化石燃料の改質による水素供給から再生可能エネルギー電力によるグリーン水素供給へと変わろうとしている。併せて、EV向けの充電スタンドも併設。ならば、法規制による安全対策を見直し、ガソリン供給も可能なマルチステーションはどうか?
コメント