欧米で進む充電時間の短縮
航続距離を伸ばすために、EVに搭載する蓄電池の大容量化が進められている。そのため高出力充電対応のBEVの商品化と急速充電設備の出力増強により、充電時間をエンジン車の給油並みに短くする動きが欧米のEVメーカーなどを中心に始まっている。
●米国では、2016年に設立されたフォルクスワーゲン(VW)の充電サービス会社であるElectrify Americaが出力:150~350kWまでの急速充電設備を備えており、2018年からは高出力急速充電設備(出力:350kW)の設置を始めている。
●2019年、米国テスラは「Model 3」向けに「スーパーチャージャーV3」という独自規格の高出力急速充電設備(出力:250kW)を日本を含む世界各国で3.5万基以上設置している。5分充電で120km、15分充電で275kmの走行可能としている。
●2020年9月、ドイツVW傘下のポルシェは高出力急速充電(出力:270kW)に対応するBEV「Taycan(タイカン)」(RWDモデル、航続距離:489km、蓄電池容量:93.4kWh)を発売。蓄電池電圧を現状の400V程度から800Vに高め、充電時間4.5分で100kmの走行を可能としている。
●2021年2月、韓国現代自動車は高出力急速充電(出力:350kW)に対応したSUVのBEV「IONIQ5(アイオニック5)」(ベースグレード、航続距離:498km、蓄電池容量:58kWh)を欧米などで発売し、2022年5月から日本でも発売。蓄電池電圧:800V対応で、充電時間5分で220kmの走行が可能。
●2021年4月、VW傘下のアウディも高出力高速充電(出力:270kW)対応のBEV「e-tron GT」(航続距離:534km、電池容量:93.4kWh)を投入した。蓄電池電圧:800V対応で、充電時間5分で100kmの走行が可能である。
●2021年12月、2017年に設立したVWグループや現代自動車などが出資するドイツIONITY(アイオニティ)は、高出力高速充電(出力:350kW)を2025年までに欧州内で、現在の約1500基から約7000基に増設する計画を発表している。
以上のように、欧米メーカーは高コスト化ではあるが、高出力急速充電による充電時間の短縮を目指している。一方で、日本メーカーは中国メーカーの格安BEVに対抗すべく、軽自動車BEVの商品化を加速している。日本車の進むべき方向は「量より質」ではないだろうか?
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