2010年代のFCEVとBEVの開発競争(Ⅹ)

自動車

電動トラック(BEトラック)

 三菱ふそうトラック・バスは、2017年に世界で初めて量産された小型BEトラック「eCanter」を世界市場へ向けて発表していた。最大積載量:2~3トン、蓄電池容量:81kWhで、急速充電では最大約1.5時間、普通充電では最大約11時間の充電で、航続距離は約100kmである。図10参照。

図10 三菱ふそうの小型EVトラック「eCanter」

 スタートアップのHW ELECTRO(株)は、2021年7月に小型商用BEトラックを発売した。最大積載量:0.4~0.65トン、普通充電では「ELEMO(エルモ) 200」(蓄電池容量:26kWh)は約6時間充電で航続距離:200km、「ELEMO 120」(蓄電池容量:13kWh)は約8時間充電で120kmである。

日野自動車も、2022年6月に超低床・前輪駆動小型BEトラック「日野デュトロ Z(ズィー) EV」を発売した。ウォークスルーバン型では、最大積載量:1トン、蓄電池容量:40kWh、航続距離:150kmである。

出遅れているが、いすゞ自動車は2022年からBEトラックの量産車を販売すると発表している。併せて、本田技術研究所と共同研究している大型FCトラックの実証試験を、2022年度に開始する予定も公表している。

 一方、2021年10月、物流大手のSBSホールディングスが、中国のEVトラック1万台を導入することを発表した。スタートアップのフォロフライ(株)が中国の東風汽車から輸入・販売するBEトラック(最大積載量:1トンクラス)について、航続距離の短いラストワンマイル事業での導入を決定した。

 2022年7月、ヤマト運輸は、日野自動車の小型BEトラック「日野デュトロZEV」(最大積載量:1トン)を500台導入すると発表した。8月から首都圏を中心に順次導入し、ラストワンマイル配送に利用する。ヤマトHDは配送車のEV化を進めており、2030年までに2万台導入する計画。

 EVトラックは中国メーカーも発売しており、佐川急便は、中国の広西汽車集団から小型EVトラックの商用車を7200台導入する。2020年6月からベンチャーのASF(株)と共同で企画開発を進めており、2022年9月から導入を開始、2030年度までに段階的に切り替える計画である。 

 海外では、米国スタートアップの二コラ(Nikola)が、2021年12月に市販EVトラック「トレ」の第一号車を、南カリフォルニアのトータル・トランスポーテーション・サービスに納入した。蓄電池容量:753kWhで、航続距離:563kmで、フル充電に要する時間は約2時間である。

 スウェーデンのボルボ・トラックス(Volvo Trucks)は、2020年12月に大型EVトラック「VNRエレクトリック」を米国バージニア州で製造・販売を開始している。
 従来、航続距離:最大240kmであったが、改良型では航続距離:最大440kmに延ばしている。改良型は、出力:250kWの蓄電池を搭載し、6バッテリー仕様の充電時間は90分、4バッテリー仕様の場合は60分で、バッテリー容量の80%を充電できる。

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