鉄道分野の脱炭素化(Ⅱ)

鉄道

 ディーゼルエンジンで発電機を回し、電力のみを使い電動機で走るのが、ディーゼル・エレクトリック方式とも呼ばれる電気式気動車(EDT:Electric Diesel Train)である。
 旅客用車両では、2019年にJR東日本が「GV-E400系」、JR北海道も「H100形」を導入した。JR西日本でも2021年に「DEC700」を導入し、電気式気動車の本格導入に向けた試験を実施している。

電気式気動車(EDT)

 ディーゼルエンジンで発電機を回し、電力のみを使い電動機で走るのが、ディーゼル・エレクトリック方式とも呼ばれる電気式気動車(EDT:Electric Diesel Train)である。構造はシンプルで、ディーゼル・エンジン、発電機、制御装置、走行用電動機(モーター)で構成される。

 ディーゼル動車では変速機を介して車軸を駆動させるため、当初はクラッチを使用する機械式気動車が運行された。現在、日本では、トルクコンバーターを使用した液体式気動車が主流となっている。

 一方、海外では大出力のディーゼルエンジンが多用されており、対応する変速機の開発が困難であったため電気式気動車が一般的である。日本でも電気式気動車の試行が進められたが、機器の性能不足や重量増加が問題となり、本格導入は断念された経緯がある。

 しかし、最近では日本でも電気式気動車の導入が始まっている。電気式気動車では蓄電池を搭載しないため、運行時にはエンジンの起動が必須で、回生電力を貯めておくこともできないが、構造がシンプルで軽量、メンテナンスが容易などの利点を有している。

 2019年8月、JR東日本はディーゼル・エレクトリック方式の電気式気動車「GV-E400系」を導入した。最高速度:100km/hで、運行区間は  羽越本線、信越本線、磐越西線、米坂線、奥羽本線、五能線、津軽線と広がっている。

図4 電気式気動車『GV-E400』

 2019年9月には、JR東日本の「GV-E400系」をベースとして製造されたJR北海道の新型車両「H100形」(DECMO)が導入され、2020年春には函館線山線で運転を開始した。最高運転速度:100km/hである。

 2021年6月、JR西日本は、新型電気式気動試験車「DEC700」を導入した。最高運転速度:100km/hで、電気式気動車の本格導入に向けた試験を実施している。また、蓄電池を追加することでハイブリッド方式への切り替えも可能な構造で、2022年からハイブリッド方式による試験運行も進めている。

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