火力発電所の仕組み(Ⅳ)

エネルギー

 国内の主流は、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC )発電方式である。貯留タンクから供給された液化天然ガス(LNG)を燃焼器で燃焼させてガスタービンを駆動し、高温の排ガスを排熱回収ボイラに導き、得られた蒸気で蒸気タービンを回転させてダブルで高効率発電を行う。

LNG焚コンバインドサイクル発電とは

 燃料の液化天然ガス(LNG)は、メタンを主成分とする天然ガスをー162℃の超低温に冷却・凝縮して容積を約1/580にしたものである。石炭や石油と比べて燃焼時のCO2排出量やNOx(窒素酸化物)の排出量が少なく、SOx(硫黄酸化物)とばいじんが発生しない比較的クリーンな化石燃料である。

LNG焚コンバインドサイクル発電の全体構成

 国内の主流は、ガスタービンと蒸気タービンを一軸に組み合わせたガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle )発電方式である。(火力原子力発電技術協会、火原協会講座37 コンバインドサイクル発電 、2011年05月)

 図6には、北海道電力(株)石狩湾新港発電所のLNG焚コンバインドサイクル発電システムの全体構成を示す。米国GEが開発した1600℃級ガスタービン(9HA.01)に東芝の高効率蒸気タービンと発電機を組み合わせた定格出力:56.94万kW、発電端効率・LHV:62%のGTCCである。
 2019年2月に1号機が稼働しており、1~3号機を合わせて総出力:170.82万kWの計画である。再生可能エネルギー向けに調整用電源として使用されており、連続運転可能な最低負荷運転がコンバインドサイクル出力の15%と低いのが特徴である。

 GTCCでは、貯留タンクから供給されたLNGを燃焼器で燃焼させ、ガスタービンを駆動することで発電を行う。さらに高温の排ガスを排熱回収ボイラに導き、得られた蒸気で蒸気タービンを回転させて高効率発電を行う。

 通常の石炭火力発電などに比べて起動・停止が短時間で可能であり、高効率で燃料消費が少ないためCO2排出量も少ない。環境負荷低減はガスタービンの低NOx燃焼器と、排熱回収ボイラに設置された排煙脱硝装置により行われる。

図6 ガスタービン・コンバインドサイクル発電所の構成

発電用ガスタービンの構造例

 図7には、GTCCで用いられる発電用ガスタービンの構造例を示す。

 吸気プレナムから吸引された空気は圧縮機で圧縮され、燃焼器内で燃料と混合され、着火されて燃焼し、急激に体積膨張した燃焼ガスが、固定された静翼を通して動翼に吹き付けられてロータを回転させる。高温の排ガスは排気プレナムを通じて排熱回収ボイラに導かれる。

 圧縮空気は燃焼空気の他に高温部品の冷却空気として使われる。圧縮機での圧力比は空気流量当たりの出力が最大となるよう設計され、最近は燃焼温度の高温化や出力上昇により高くなる傾向を示し、最新の1600℃級ガスタービンでは圧力比が20~25程度に達している。

図7 発電用ガスタービンの構造

発電用蒸気タービンの構造例

 図8には、GTCCで用いられている発電用蒸気タービン(混圧タービン)の構造例を示す。

 排熱回収ボイラから高圧と中圧の蒸気供給を受け、中圧段から低圧段にはクロスオーバー管を通じて蒸気が供給される。そのため高圧・中圧・低圧段に、それぞれ圧力の異なる蒸気が供給され、ケーシングに固定された静翼を通してロータに植えつけられた動翼に吹き付けられて回転させる。

図8 事業用蒸気タービンの構造

 蒸気タービンのロータは発電機ロータに直結されており、発電機のコイルの中でロータに設置された磁石を回転させることで、電磁誘導現象により回転運動を電気に変換する。

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