バイオメタンは、下水汚泥や生ごみ、家畜ふん尿などバイオマス由来のバイオガス(CH4:60%、CO2:40%)から、CO2を分離・精製したガスである。東京ガスと大阪ガスは、メタン生成菌による生物反応によりCO2とH2をメタンに変換するバイオメタネーションの開発を進めている。
また、大阪ガスはバイオガス中のCO2を原料として生物反応によりメタネーションする技術や、バイオガスから生物反応や化学反応により合成メタンを製造する技術の開発も進めている。
バイオ・メタネーション技術の開発動向
2022年4月、大阪ガス、大阪市、大阪広域環境施設組合は、環境省プロジェクトで再生可能エネルギー由来の水素と生ごみを発酵させて製造したバイオガス(メタン;約60%、CO2:約40%)中のCO2を原料としてメタネーションを行い、需要家への合成メタンの供給をめざす。
2022年11月から、大阪ガス、京都大学、NJS、大阪市は、下水処理場で発生するバイオガスを活用したバイオ・メタネーションのフィールド試験を、大阪市の海老江下水処理場で実施している。
2022年度は、同試験装置に下水汚泥と水素を投入し、下水処理場と同じ条件で下水汚泥をバイオガス化し、バイオガス中のCO2と水素を微生物によりメタン合成する。2023年度は、同試験装置に廃棄バイオプラスチックの分解物である乳酸を投入し、バイオガスの発生量を増大させる実証を行う。
2023年7月、 横浜市、東京ガス、三菱重工業、三菱重工環境・化学エンジニアリングは、横浜市資源循環局鶴見工場で、ごみ焼却工場の排ガスから分離・回収したCO2を東京ガスのメタネーション実証設備に輸送し、メタネーションの原料として利用する地域連携でのCCU共同実証を開始した。
2023年9月、インドネシア国営石油会社プルタミナの子会社で天然ガス供給事業を手掛けるPT Perusahaan Gas Negara、日揮HD、大阪ガス、INPEXの4社は、インドネシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる廃液(POME:Palm Oil Mill Effluent)由来のバイオメタン活用の事業化に向け詳細検討を開始した。
2024年5月、エア・ウォーターは、LNGの代替燃料となる家畜ふん尿由来の「バイオメタン」の製造から販売に至るサプライチェーンを確立し、よつ葉乳業十勝主管工場へボイラー燃料としての納入を開始した。製造能力:360トン/年で、LNGタンクローリーによる供給である。
2024年8月、東京ガスは、横浜市北部下水道センターの再生水と下水汚泥を処理する工程で発生する消化ガス(CH4とCO2の混合ガス)を、東京ガス横浜テクノステーションのメタネーション実証設備に輸送し、水素および合成メタン製造の原料として利用する共同実証を開始した。
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