出力制御

再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅷ)

再生可能エネルギーの導入速度に追いつけず、再エネ出力制御が常態化するに至った。2021年、政府は再生可能エネルギーの大量導入と巨大災害への耐性向上を実現するため、さらなる送電網の増強を打ち出した。すなわち、2050年までの送配電網の整備計画をまとめ、約6兆〜7兆円を投資して、新送電網の整備計画と地域内送電網の増強の計画である。短期的に鍵となるのは高圧直流送電技術である。長期的には超電導送電技術である。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅶ)

東日本大震災時の反省を踏まえて、脆弱な地域間連系線の送電容量を増強する動きが北海道―東北連系線、東京ー中部連系設備、東北ー東京間連系線、中国ー九州間連系線において進められてきた。しかし、再生可能エネルギーの導入速度に追いつけず、再エネ出力制御が常態化するに至った。2021年、政府は再生可能エネルギーの大量導入と巨大災害への耐性向上を実現するため、さらなる送電網の増強を打ち出した。すなわち、2050年までの送配電網の整備計画をまとめ、約6兆〜7兆円を投資して、新送電網の整備計画と地域内送電網の増強の計画である。しかし、具体的なスケジュールは未定である。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅵ)

早くも、2023年4月8~9日に中部電力と北陸電力エリアで再エネ出力制御が起きた。中部電力のように電力需要が大きい大都市を抱えるエリアで起きたことが注目される。東京電力や関西電力エリアでも再エネ出力制御の可能性が高まっている。対策には、「電力供給力の低下」、「他電力への送電量を増加」、「揚水は売電など電力貯蔵」が考えられるが、いずれも後手に回っている。このまま再エネ出力制御の常態化を見過ごせば、再生可能エネルギー導入の頭打ちが進むため、早急な対策を打つ必要がある。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅴ)

2023年2月、蓄電池に注目した蓄電設備の導入は、高コストのために短期間での増設は困難であることに気付いた政府は、既存の揚水発電所の活用への支援策を打ち出している。しかし、具体的な動きは未だ報告されていない。今後の揚水発電所の更新や新設に期待したい。一方、高効率で短期周波数の調整に優れた可変速揚水発電機が注目されているが、全揚水発電所の17%程度に過ぎない。早急に既設の定速揚水発電機を可変速揚水発電に改修して設備稼働率を上げ、真の再生可能エネルギー拡大を目指す必要がある。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅳ)

再エネ太陽導入に向けて「再エネ出力制御の常態化」と「再生可能エネルギー導入の頭打ち」を打破すべく、政府はようやく重い腰を上げた。遅ればせながら、2022年1月の電気事業法の改正による大規模系統用蓄電池の普及支援と、2023年2月の揚水発電所の維持や更新の支援である。 蓄電設備導入の最大の課題は低コスト化であるが、蓄電設備と需要地点を結ぶ送電線の空きが少ないのも課題である。再エネ大量導入に向けて北海道エリアでは系統に単独で直接接続する系統用蓄電池が急増し、送電線の運用容量の制約による系統混雑の発生が懸念され、実証事業が始められている。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅲ)

固定価格買取制度(FIT)により太陽光発電所が急増したことを受け、2015~2016年に北海道の南早来変電所(レドックスフロー電池)、宮城県の西仙台変電所(リチウムイオン電池)、福島県の南相馬変電所(リチウムイオン電池)、福岡県の豊前発電所(NaS電池)内に大型蓄電設備が配備された。蓄電設備は系統運用の安定化に優れていることが実証されたが高コストのため、2017年頃から北海道で蓄電設備併設太陽光発電所の設置が始まっているが、未だ限定的である。より大規模となる風力発電所に関しても蓄電設備併設(一部は蓄エネルギー設備)が検討されているが、試行錯誤の最中である。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅱ)

九州電力は事前に再エネ出力制御が起きることを十分に予想していたのである。そのため、九州電力は再生可能エネルギー発電事業者の多くと、出力制御をしても補償しないという電力会社に有利な条件の契約を交わし、他の大手電力会社もこれに追随した。しかし、再エネ出力制御を抑制するための抜本的な対策を施さずに、短期的な優先供給ルールの設定で満足したため、再エネ出力制御の常態化と再生可能エネルギー導入の頭打ちを招いているのである。
再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅰ)

電気は需要と供給のバランスがとれないと周波数が乱れ、大規模停電につながる恐れがある。再生可能エネルギーの供給量が増えると、電力会社は火力発電の出力抑制などの対応をとるが、それでも十分に対応できない場合は、太陽光や風力による電源を送配電網から遮断(買い取らない)する。出力制御は、2018年に九州電力管内で離島以外では初めて行われた。その後、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力管内でも実施された。2023年2月、東京電力は再生可能エネルギーで発電した電気の受け入れを一時停止する「出力制御」を行う検討を進め、政府はこれを了承したのである。