合成燃料

エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅱ)

合成燃料(e-fuel)のメリットは、従来の内燃機関(エンジン)や既存の燃料インフラ(タンクローリー、ガソリンフタンドなど)を活用でき、導入コストを抑えられて、市場導入が容易な点である。また、化石燃料と同等の高エネルギー密度を有し、硫黄分や重金属分が少ないため燃焼排ガスにも不純物は含まれない。一方、デメリットは、現時点で原料となるグリーン水素の製造とCO2回収に費用を要するために、合成燃料は高価格であり、既存燃料と同じように、燃焼条件により有害なCO、NOxが発生する点である。
エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅰ)

運輸部門におけるCO2排出量の削減には輸送効率の改善が重要で、航空機、自家用乗用車、バス、自家用貨物車が対象となる。中でも長距離用のバスや自家用貨物車、EV化やFCEV化が困難な航空機については、液体燃料の脱炭素化(バイオ燃料、合成燃料)が選択肢の一つと考えられる。自動車用バイオ燃料➡航空機用SAF➡合成燃料(e-fuel)へと代替燃料の話題が急速に移行している。当初、合成燃料は電動化が難しい航空機や船舶向けが本命と考えられていたが、欧州連合(EU)の新方針を契機に、自動車での合成燃料の需要拡大を見込んだ開発競争が始まっている。
自動車

次世代自動車燃料の取り組み(Ⅱ)

EUでは2035年までに「全ての新車をゼロエミッション化」、すなわち、同年以降は内燃機関搭載車の生産を実質禁止することが確定した。2023年3月、合成燃料(e-fuel)や水素など非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)を使用する専用内燃機関搭載車に限り、新車販売を2035年以降も容認するとした。これによりe-fuelの注目度が急速に高まっているが、実用化のための最大の課題は低コスト化である。EUではフォルクスワーゲンGrのアウディ、ポルシェが先行して開発・生産を進めている。
自動車

運輸部門と合成燃料「e-fuel」(Ⅲ)

EVシフトが進む自動車分野は、2030年時点でエンジン搭載車が91%残ると予測され、脱炭素燃料の供給が鍵となる。国際船舶分野では、重油から複数の脱炭素燃料への転換が計画されている。国際航空では、SAFの国内生産、サプライチェーン構築による安定供給体制の整備が検討されている。
自動車

運輸部門と合成燃料「e-fuel」(Ⅱ)

液体合成燃料の製造で、再生可能エネルギー由来の水素を原料としたものが「e-fuel」である。発電所や工場などから排出されたCO2を回収(CCS)して使用する。将来的にはDAC技術で、大気中のCO2を直接分離・回収する。e-fuelの製造コストは300〜700円/Lと試算され低コスト化が大きな課題である。
自動車

運輸部門と合成燃料「e-fuel」(Ⅰ)

運輸部門におけるCO2排出量の削減には輸送効率の改善が重要で、航空機、自家用乗用車、バス、自家用貨物車が対象として有効である。  現在、自家用乗用車、短距離用のバスや自家用貨物車は、EV化が急速に進められている。また、長距離用のバスや自家用貨物車のFCEV化が検討されている。一方、長距離用のバスや自家用貨物車、EV化やFCEV化が困難な航空機については、液体燃料の脱炭素化が選択肢の一つと考えられる。