2018年10月13日に起きた九州電力の「再エネ制御」を発端に、経済産業省は「再エネ制御」を減らす対策を進めている。既述の①揚水発電や蓄電設備の増強や②連系線の強化は、問題解決のための抜本的な対策であるが、実現には時間を要する。そのため、直近の制度対策に追われている。
政府が進める再エネ制御の抑制対策
無制限・無補償ルールの適用について
当初、太陽光発電や風力発電を推進するにあたり、FIT制度の下で「30日等出力制御枠」を定め、年間30日(もしくは太陽光360時間、風力720時間)は無補償で出力制御に応じることが義務付けられてきた。
また、「30日等出力制御枠」の超過が見込まれるエリアの一般送配電事業者は「指定電気事業者」に指定され、無制限・無補償で出力制御に応じることが義務付けられてきた。
その後、政府は「再エネ制御」が常態化する中、2021年4月以降は東京電力、中部電力、関西電力エリアを含む全エリアにおいて無制限・無補償ルールの適用を実施した。
出力制御実施対象の拡大とオンライン代理制御の導入
従来は出力制御の対象外とされてきた旧ルール500kW未満の小規模太陽光発電設備も新たに対象とし、FIT制度の下で「30日等無補償ルール」の適用を決定した。一部エリアでは新ルール500kW未満の小規模太陽光発電事業者も出力制御の対象外であるが、新たに対象とし「360時間ルール」が適用される。
また、小規模太陽光発電設備には出力制御用機器を取り付けていない発電設備も多く、オフライン(手動)制御では迅速で柔軟な運用が難しいため、2022年4月から「オンライン代理制御」を導入した。
すなわち、オフライン制御事業者の代理として、出力制御用機器を取り付けた発電設備によりオンライン事業者が出力制御を行い、代理分の対価を受け取り出力制御の公平性と実効性の両立を図る仕組みである。対象はFIT認定を受けた10kW以上の太陽光発電設備とした。
具体的には、オンライン制御事業者には、代理制御した時間帯にも発電していたとしてFIT買取価格を乗じた金額が、買取義務者から対価として支払われる。一方、オフライン制御事業者には、本来出力制御されるはずであった時間帯の発電量について、買取義務者から対価が支払われない。
一方、風力発電設備は、現時点ではオフライン発電設備を代理制御できるだけの十分な量のオンライン発電設備が存在しないため、当面は出力制御実施対象拡大およびオンライン代理制御の対象とせず、オンライン発電設備の導入拡大等の状況をみて導入を検討する。
日本版コネクト&マネージとは
従来の系統接続の考え方や運用方法を見直し、系統の「隙間」に注目し既存系統を最大限活用して他地域への送電量を増やす方策である。具体的に「再エネ制御」を抑制するため、①想定潮流の合理化、②ノンファーム型接続、③N-1電制などの方法が進められている。
①想定潮流の合理化:
2018年4月から導入されている。一般に太陽光発電による発電量は春や秋の日中が多く、風力発電は冬の荒天の日である。このような実際に近い発電量を想定した潮流に基づき空き容量を算定する手法である。
②ノンファーム型接続:
2021年1月から全国の空き容量のない基幹系統(最上位電圧から2階級の電圧の系統、ただし供給区域の電圧が250kV未満のときは最上位電圧の系統)について適用が開始された。「ファーム型接続」でも常に100%電流が流れているわけではなく、時間帯を選べば空き容量が確保できるのである。
基幹系統より低電圧のローカル系統でも、2023年4月より「ノンファーム型接続」の適用が開始された。
③N-1電制:
2018年10月から先行適用が導入され、2023年4月より費用負担を含めた本格運用を開始した。多くの送電線は2回線以上で構成され、平常時は電気を流さず緊急時用に確保されている。事故時には遮断することを前提に緊急時用の送電線を活用する仕組みが「N-1電制」である。
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