はじめに

LED照明器具の過去を振り返る(Ⅰ)

脱炭素社会の実現に向け、自動車、航空機、船舶など多様なモビリティー分野において大きな変革が起きようとしている。よく似た変革が、2010年代にLED照明器具への切り換えが行われている。LED照明機器の過去を振り返ることで、モビリティー分野における未来予測の一助とする。
船舶

船舶の未来予測

ゼロエミッション船の実現に向けて、蓄電池性能の観点から小中型船の完全電気推進船化が進められる。特に、環境規制の厳しい欧州ではフェリーや旅客船の完全電気推進船化が進められている。しかし、経済性の観点から、中大型船の多くは重油燃料のハイブリッド化から、LNG燃料への転換が推進されているのが現状である。今後、風力援用などの燃費向上策を実現しつつ、将来的には水素燃料船あるいはアンモニア燃料船が実現される。
航空機

動き始めたSAFの国産化

国際民間航空機関(ICAO)が示す「2050年CO2排出の実質ゼロ」に向け、持続可能な航空燃料(SAF)の国産化に向けた動きが活発化している。2020年代に入り、航空機関連企業、バイオマス関連企業、石油プラント関連企業、エネルギー関連企業などが、相次いでSAFの国内製造を公表した。ただし、SAFを製造するための原料であるエタノールや水素を輸入する動きもある。短期的に低コスト化を図るための手段であるが、将来にわたる持続可能性とエネルギー自給率の観点から問題は残る。
船舶

再生可能エネルギー援用船(Ⅲ)

2000年代から太陽光発電搭載船の開発は進められてきたが、現状の太陽光パネルの性能では十分な電力が得られないため、照明など船内電源としての利用の域を出ていない。本格的な太陽光発電搭載船の実用化のためには、高効率で安価なパネルの供給が不可欠である。
船舶

再生可能エネルギー援用船(Ⅱ)

2020~2030年代は、風力援用はLNG燃料船などと組み合わされることで燃費改善によりCO2排出量の抑制が進められる。将来的には、水素・アンモニア燃料やバイオ燃料などの使用によるゼロエミッション船が実用化され、燃費改善のために風力援用が搭載される。
船舶

再生可能エネルギー援用船(Ⅰ)

再生可能エネルギーのみで小型船を航行する例はあるが、大型の貨物船やコンテナ船では再生可能エネルギー援用による燃費削減を目的とした開発が進められている。風力推進船は、船体形状を翼にした船型開発や、昔からのソフトセイル(軟質帆)の改良に加えて、①ローターセイル式、②サクションウイング式、③ハードセイル(硬質帆)式、④凧(たこ)牽引式などの開発が進められている。
火力発電

バイオマス発電の相次ぐ中止・撤退?

2023年1月、バイオマス発電所の稼働停止が相次いでいると報じられた。間伐材を燃料として活用する地産地消型モデルは、①国内林業の停滞で調達が進まず、②アブラヤシやヤシ殻(PKS)など安価な輸入材への依存が強まり早々に崩壊した。加えて、ウクライナ侵攻に伴う③ロシア産木材の輸入減、④パーム油の価格高騰が追い打ちをかけた結果、主に輸入材に頼る大型の木質バイオマス発電所で採算悪化が生じている。
いろいろ探訪記

桂川に架かる甲斐の猿橋@山梨県大月市

山梨県大月市の相模川上流の桂川に架かる甲斐の猿橋(かいのさるはし)は、日本三奇橋の一つといわれ、桂川両岸から橋桁を刎ね出した木造の刎橋(はねばし)で、桔橋(はねばし)とも記されており、現存する国内唯一の美麗な刎橋である。
船舶

CO2回収システム搭載船とは?(Ⅲ)

脱炭素社会の実現に向けて、船上CCS搭載によりCO2を回収して貯留した後、CO2を有効利用する二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture Utilisation and Storage)の開発が必要である。液化CO2の海上輸送はCCUSバリューチェーンの中で回収地と貯留地、もしくは回収地と有効利用地を効率的に結ぶ手段として重要な役割を担う。
船舶

CO2回収システム搭載船とは?(Ⅱ)

国内では、2020年8月に三菱造船、川崎汽船、日本海事協会が、陸上用のCO2回収装置を実船搭載して試験運転すると発表した。"CC-Ocean (Carbon Capture on the Ocean)”プロジェクトである。一方、欧州を中心に、船上CCS搭載に関しては積極的な動きが始まっている。2019年10月にデンマークの海事研究開発センターと世界各国の海運会社、造船所などにより「DecarbonICE」プロジェクト立ち上げられた。