原子力 福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅱ) 福島第一原発の事故では水素爆発で建屋が損傷し、炉内の燃料が溶け落ちて固まった燃料デブリが、今なお原子炉の底部に残っている。膨大な熱を発する燃料デブリは常に水で冷却し続ける必要があり、核燃料に直接触れることで高濃度の放射性物質を含んだ水、いわゆる高濃度汚染水となる。事故の1か月後には、この高濃度汚染水が海に流れ出していることが判明し、漏出経路の特定と遮断が最優先で進められた。 2023.08.01 原子力
原子力 福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅰ) 現在、福島第一原子力発電所からは、90トン/日の汚染水が発生する。これには地下水、海水、冷却水が含まれる。多核種除去設備(ALPS)でフィルター処理した水が、原発構内のタンクで保管されている。保管される処理水の量は130万トンを超え、保管場所がなくなりつつあると報じられた。そもそも、90トン/日の汚染水が発生するなら、すべてタンクに保管しても12年間で約39万トンである。何故、処理水の量が130万トンを超えているのか? 2023.07.31 原子力
原子力 福島第一原発の処理水海洋放出問題とは 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、日本産食品の輸入規制問題が起きている。13年目を迎えてた今でも、近隣諸国との間で完全解決には至っていない。それに加えて、昨今では福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出問題がクローズアップされている。日本産食品の生産者、特に水産食品の生産者にとっては、風評被害が再燃・拡大することに大きな危機感を抱かざるを得ないのが現状である。 2023.07.28 原子力
原子力 日本産食品等の輸入規制について 2023年7月、欧州連合(EU)が日本産食品に課している輸入規制を完全撤廃すると報じられた。EUは、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、日本産食品の規制を導入した。日本の食品安全性確保が進み規制は段階的に緩和されてきたが、現在も福島県産の魚や野生のキノコ類など計10県の一部食品を対象に放射性物質の検査証明書の添付を義務付け、そのほかの都道府県の産品でも一部に同様の証明書を求めるほか、規制地域外で生産したことを示す証明書が必要である。 2023.07.27 原子力
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅵ) 国際エネルギー機関(IEA)によると、直接に空気からCO2を回収するDAC設備はスイス、カナダ、米国など世界で18カ所に設置されており、CO2回収量は約1000トン/年である。2050年の温暖化ガス排出量を実質ゼロにするには、2030年に6000万トン/年のCO2を回収する必要があるとしている。 2023.07.25 火力発電
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅴ) 2020年代に入ると、急速にバイオマス発電所へのCCS設備の導入が始まる。基本的にバイオマス発電所はCO2排出量が実質ゼロとみなされるため、付帯されたCCS設備が稼働すれば大気中のCO2を減らす「ネガティブ・エミッション(負の排出)」発電所となる。 2023.07.24 火力発電
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅳ) CO2を回収・貯留するCCSだけでは、地球温暖化問題に関する継続的な対策にはなり得ない。そのため、分離回収したCO2の有効利用(Utilization)は必須課題である。当初、欧米では石油増進回収(EOR)を目的としたCCS設備の設置が行われたが、最近では国内企業によるカーボンリサイクル(化学品、燃料、鉱物など)事業への参画が相次いでいる。 2023.07.20 火力発電
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅲ) 三菱重工業を筆頭にCCS設備の技術開発で先行した日本であるが、火力発電所などへのCCS設備の導入に関しては一部の実証試験に留まっているのが現状である。一方、火力発電所にCCS設備を付帯した場合のコスト試算が行われ、石炭火力発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.55~1.9倍、LNGコンバインドサイクル発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.44~1.55倍と、高コスト化が明らかにされている。 2023.07.19 火力発電
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅱ) 国内でのCO2回収・貯留技術(CCS)の開発は、1990年の三菱重工業・関西電力による発電所のボイラ排ガスからのCO2回収に始まる。火力発電所に設置されるCCSには、ボイラ排ガスからCO2を回収する燃焼後(ポストコンバッション)方式と、燃焼前の燃料からCO2を回収する燃焼前(プレコンバッション)方式がある。 現在の主流はポストコンバッション方式で、既設の火力発電所にCCS設備が付帯され実証試験が進められている。 2023.07.18 火力発電
火力発電 CO2回収貯留とその有効利用(Ⅰ) 日本のCO2排出量は約12憶トン/年である。資源エネルギー庁によると、2050年カーボンニュートラルを実現するには、CCSによるCO2貯留量を1.2億~2.4億トン/年にする必要があるとし、2030年までに600万〜1200万トン/年のCO2を地下貯留する目標を掲げている。火力発電所や製油所などからCO2を回収し、船舶やパイプラインで国内外に輸送して貯留する構想で、2023年度にはCO2回収設備の設計や貯留地域の選定に向けた調査が進められる。今後、CO2貯留適地調査を進めて周辺住民の同意を得ること、貯留したCO2の有効利用が大きな課題である。 2023.07.17 火力発電