原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅲ)

GX脱炭素電源法(原子力)の大きな問題は、先に事実上60年超の運転を可能とした法律を策定し、これを実現するための規制が設定された点にある。原発の60年超の運転ありきで、法整備が行われたのである。科学的・技術的に安全性が担保されて、60年超の運転を可能としたのではないのである。
原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅱ)

原発の再稼働に向けて岸田首相が「国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」と強調したものの、関西電力の高浜1,2号機の再稼働は1か月遅れ、東北電力の女川2号機、中国電力の島根2号機は明確な進捗なしと、政府が大きく関与した兆候は認められない。政府の趣旨はいつの間にか、「原発再稼働」から「60年超の運転期間延長」へと切り替わった。
原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅰ)

政府は、昨年2022年6月の電力需要ひっ迫を起点に、同8月には来夏以降に向け「原発の更なる再稼働が重要だ」との認識を示し、岸田文雄首相は第2回GX会議(2022年8月24日)で「これまでに再稼働した原発10基に加え、来夏以降に追加で7基の再稼働を進める方針」を表明した。その半年後、2023年2月に、GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針が閣議決定され、2023年5月にはカーボンプライシングの導入を含むGX推進法、原子力発電所の運転期間の60年超への延長を盛り込んだGX脱炭素電源法のGX関連法が相次いで成立した。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅳ)

漁業関係者らが心配していた枠を超え、日本全国が影響を受ける大きな風評被害が押し寄せてきている。高を括くくっていた政府は批判されて当然で、なぜ想定以上の風評被害に至ったのかを反省し、煽あおるのではなく、風評被害の沈静化に向けた対策を強化する必要がある。一方、タンタンクが減れば、廃炉作業で発生する放射性廃棄物の保管などの敷地が確保できる。次は、遅れ気味となっている核燃料デブリの取り出しである。並行して膨大な量の放射線廃棄物の処理と、高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場を決める必要がある。まだまだ、先は見えない。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅲ)

IAEAの専門家は「ALPS処理水を海水で希釈して行う東京電力の海洋放出計画は、一般の原子力発電所からの排水基準に合致している」と報告しており、必ずしも安全性を担保している訳ではない。また、賛意を示す専門家もトリチウムの海洋放出を安全とはいっていない。十分に希釈するので影響は少ないといっている。一方、海洋放出を危惧する専門家は、放射性物質や生態系に関する影響評価が不十分なため影響は予測できないためとしている。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅱ)

国内では処理水の海洋放出反対の抗議集会が各地で開催されている。また、福島県の住民や漁業関係者による国と東京電力に海洋放出停止を求めた訴訟が始まることが発表されている。近隣諸国からは、良好な外交関係を維持している国々からは、処理水の海洋放出には一定の理解を得たものの、中国、香港政府、マカオ政府からは水産物を中心に輸入禁止措置が発表された。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅰ)

2023年8月24日午後1時ごろ、東京電力は福島第一原発にたまる処理水を太平洋に放出する作業を開始した。放出完了には、30年程度という長期間が見込まれている。一端、原発処理水の海洋放出を始めたからには、東京電力は当事者として安全に細心の注意を払いながら、海洋放出を粛々と続ける必要がある。長期間にわたり絶対にミスは許されない。
自動車

燃料電池バスの開発状況

2018年3月、大型FCバス「SORA」の型式認証をFCバスとして国内で初めて取得し、販売を開始した。今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のFCバス導入が予定されていることも、併せて公表した。価格は1億円/台である。FCバスに関しては、2021年開催の東京オリンピック・パラリンピック対応もあり、2020年の目標である100台はクリアし、2023年2月時点で124台に達している。しかし、2030年の目標である1200台の普及の見通しは立っていない。
自動車

燃料電池トラックの開発状況

改定された水素基本戦略では、「今後は乗用車に加え、より多くの水素需要が見込まれ 燃料電池車 の利点が発揮されやすい商用車に対する支援を重点化していく。官民協議会での議論を通じて FC トラック等の生産・導入見通しのロードマップを作成する。」と方針が示された。2020年代に入り、国内外での主要なFCトラックメーカーの動きが活発化しており、物流関連企業を巻き込んでの大規模実証走行が開始されていることが背景にある。
自動車

進まない?水素ステーション

日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)によれば、2020年の設置目標の160カ所はクリアし、2023年3月現在、全国で運用されている水素ステーションの数は179カ所に達している。ただし、2025年の設置目標の320カ所を達成するには、一層の努力が必要である。水素ステーションの設置は37都道府県にわたり、稼働中は167カ所である。内訳は首都圏:54カ所、中京圏:51カ所、関西圏:20カ所、九州圏:15カ所、その他:27カ所で、今後も四大都市圏とそれらを結ぶ幹線沿いを中心に整備される予定である。