原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅵ)

欧米を中心に核融合の民間投資はスタートアップ企業に集中し、核融合発電の開発の主体は民間に移りつつある。特に、米国の核融合スタートアップは25社と飛びぬけて多く、英国、ドイツ、日本がそれぞれ3社で続いている。代表的な核融合スタートアップの開発動向について、レビューを進める。まずは、米国TAE Technologies(TAEテクノロジーズ)。
原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅴ)

遅ればせながら、2023年4月、日本初の核融合戦略である「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が策定された。先行する欧米の動きに触発されての核融合戦略の策定であり、民間企業の参入を促進する狙いは理解できるが、後追い感は免れない。具体的な戦略は記述されず、今後に設立される「核融合産業協議会」に任せるとした中身の薄い内容であり、核融合に関する政府方針とすべきであろう。
原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅳ)

国内では、量子科学技術研究開発機構によりトカマク型磁気閉じ込め核融合炉(JT-60SA)、自然科学研究機構の核融合科学研究所によりヘリカル型磁気閉じ込め核融合炉(LHD)、大阪大学レーザー科学研究所による大型レーザによる慣性閉じ込め核融合炉(LFS)の3種類の炉型に関して開発が進められている。
原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅲ)

ITERは発電システムの検証を含まない核融合実験炉であり、ITER終了後に各国が原型炉を建設し、その後に商用炉に進む予定であった。しかし、ITERの大幅な建設遅れが原因で、EU、日本、韓国、中国は個別に原型炉(DEMO)の開発に向けて動いている。一方で、英国、米国においては核融合ベンチャーの誕生が相次いでおり、それぞれ独自の技術に基づいて開発が進められている。
原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅱ)

2023年7月、国際熱核融合実験炉(ITER)の建設が苦境に陥っていると報じられた。核融合を起こす真空容器の組み立て状況などに問題が見つかり、2025年の建設完成、2035年の核融合燃焼の実施が大幅に遅れる懸念が浮上している。総額5兆円にも迫る大プロジェクトである。2極化が進む国際情勢を鑑みると、今後の中国、ロシアなどの国際共同プロジェクトからの去就が心配される。
原子力

何故、急速に高まる核融合熱!(Ⅰ)

世界的に異常気象を引き起こしている地球温暖化問題と、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界的なエネルギー危機を背景に、米国や英国を中心に次世代エネルギーの開発が加速されている。中でも、核融合の実用化は早くても2050年以降という予測が多かった中で、2024年にも核融合発電を始めるというベンチャー企業が出てきており、急速に注目度が上昇している。
いろいろ探訪記

ケム川に架かる数学橋@英国ケンブリッジ

ロンドン市内キングズ・クロス駅から鉄道を使い、1時間15分でケンブリッジ駅に到着。駅前からバスに乗り換えて約10分でクライスト・カレッジ傍のバス停に到着しました。5分程度歩くとクイーンズ・カレッジのケム(Cam)川に架かる数学橋(Mathematical bridge)が見えてきました。
原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅲ)

GX脱炭素電源法(原子力)の大きな問題は、先に事実上60年超の運転を可能とした法律を策定し、これを実現するための規制が設定された点にある。原発の60年超の運転ありきで、法整備が行われたのである。科学的・技術的に安全性が担保されて、60年超の運転を可能としたのではないのである。
原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅱ)

原発の再稼働に向けて岸田首相が「国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」と強調したものの、関西電力の高浜1,2号機の再稼働は1か月遅れ、東北電力の女川2号機、中国電力の島根2号機は明確な進捗なしと、政府が大きく関与した兆候は認められない。政府の趣旨はいつの間にか、「原発再稼働」から「60年超の運転期間延長」へと切り替わった。
原子力

GX脱炭素電源法に関して(Ⅰ)

政府は、昨年2022年6月の電力需要ひっ迫を起点に、同8月には来夏以降に向け「原発の更なる再稼働が重要だ」との認識を示し、岸田文雄首相は第2回GX会議(2022年8月24日)で「これまでに再稼働した原発10基に加え、来夏以降に追加で7基の再稼働を進める方針」を表明した。その半年後、2023年2月に、GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針が閣議決定され、2023年5月にはカーボンプライシングの導入を含むGX推進法、原子力発電所の運転期間の60年超への延長を盛り込んだGX脱炭素電源法のGX関連法が相次いで成立した。