日本のエネルギー自給率は2020年度に11.3%で、他のOECD(経済協力開発機構)諸国と比べても明らかに低水準である。東日本大震災前の2010年度は20.2%であり、原子力発電所の停止により大幅に下落した。脱炭素社会の早期実現に向け、再生可能エネルギーと安全な原子力発電所増設は不可欠である。
新型炉開発の課題
現在、フィンランド、ポーランド、ルーマニア、チェコ、エストニア、ウクライナなど北・東欧諸国、ヨルダン、サウジアラビア、トルコなど中東諸国、インドネシアなど、世界各国で新型炉を含むSMR導入検討が行われている。詳細は国際原子力機関(IAEA)「Advances in Small Modular Reactor Technology Developments」を参照。
広大な国土を有するロシア・中国は、各種産業の基本となるエネルギー計画に力点を置いて国土開発を進めており、原子力をその中核技術と位置付けてきた。一方、1990年代から日本を含む西欧諸国は、エネルギー資源を安価な資源国からの輸入に頼る政策に舵を切り、原子力発電の停滞期を迎えている。
現在、世界の原子炉市場は核燃料を含めて、ロシア・中国が主導権を握っているといっても過言ではない。そのため、2010年代後半から、米国、カナダ、英国などが原子炉市場での主導権を取り戻すべく多くのプロジェクトを発足させている。遅れて、日本も米国、英国との協調路線を打ち出しているのが現状である。
日本のエネルギー自給率は2020年度に11.3%で、他のOECD(経済協力開発機構)諸国と比べても明らかに低水準である。東日本大震災前の2010年度は20.2%であり、原子力発電所の停止により大幅に下落した。脱炭素社会の早期実現に向け、再生可能エネルギーと安全な原子力発電所の増設は不可欠である。
次世代に向けた新型炉の開発は、地政学的なリスクを回避するためにも米国や英国との協調路線は必要と考えられる。
第4世代原子力システム国際フォーラムで、日本は5システム(ガス冷却高速炉、鉛冷却高速炉、ナトリウム冷却高速炉、超臨界水冷却炉、超高温ガス炉)への参加を表明しているが、国力に見合った絞り込みが必要である。昔のような全方位戦略ではなく、今は「選択と集中」の時である。
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