期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅵ)

エネルギー

 外航船舶各社は、移行期における低炭素燃料としてLNG燃料船の導入を進めている。合成燃料(e-fuel)への転換の検討は始まったばかりであるが、LNG燃料船は将来的に合成燃料(カーボンリサイクルメタン、e-メタン)への転用が可能である。
 また、内航海運では、2030年度のCO2排出量を約17%削減(2013年度比)を目標とし、省エネと代替燃料(アンモニア、水素)の活用を推進している。

船舶分野における取り組み

船舶分野でのCO2排出量

 国際海運におけるCO2排出は、国際海事機関(IMO)により国際的な削減策が統一的に検討されており、排出量は国毎ではなく国際海運という分野に計上されている。すなわち、世界全体のCO2排出量335億トンのうち約7億トンであり、国際海運は約2.1%を占めている

 一方、2022年度の内航海運におけるCO2排出は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の枠組みにおける国別の排出量に計上されており、その年間CO2排出量の970万トンは国内運輸部門の5.1%を占めている。内航海運は、国内貨物輸送(輸送量×輸送距離)の40%を担う重要な部門である。

 国土交通省と日本船主協会は「2050年の国際海運カーボンニュートラル」を表明し、その実現に向け、外航船舶燃料について現在の重油から複数の脱炭素燃料への転換を計画している。
 外航船舶各社は、移行期における低炭素燃料としてLNG燃料船の導入を進めている。これは将来的に合成燃料(カーボンリサイクルメタン、e-メタン)への転用が可能である。また、内航海運では、2030年度のCO2排出量を約17%削減(2013年度比)を目標とし、省エネと代替燃料(アンモニア、水素)の活用を推進している。

図11 日本の外航海運業 出典:国土交通省(2022年9月)

 船舶分野では、現用の重油をバイオ燃料へ転換する試みが進められており、合成燃料(e-fuel)への転換の検討は始まったばかりである。

 2024年2月、商船三井、伊藤忠商事、米国HIF Globalの100%子会社HIF Asia Pacific、JFEスチールは、国内でのCO2回収、オーストラリアへの船舶輸送、オーストラリアでの合成燃料(e-fuel)の製造・貯蔵、オーストラリアからの輸出を含めたサプライチェーン構築の事業化調査を共同で実施すると発表した。

 2024年4月、福岡市は博多港の脱炭素化促進の一環として、環境配慮型船舶(LNG燃料船、水素燃料船、バッテリー推進船、アンモニア燃料船、合成燃料(グリーンメタン、グリーンメタノール)を使用する船)の入港料を全額免除する制度導入を開始。バイオ燃料、合成燃料は混合割合に応じて入港料を免除する。

コメント

タイトルとURLをコピーしました