期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅳ)

エネルギー

 合成燃料の製造プロセスは基本的に確立されている。すなわち、CO2をCOに変換(逆シフト反応)し、COとH2①逆シフト+FT合成する方法である。
 一方で、低コスト化をめざした製造効率の向上が課題である。そのため、②CO2電解+FT合成、③共電解+FT合成、④直接合成(Direct-FT)などの研究が進められている。

合成燃料(e-fuel)の製造技術

開発が進められている製造プロセス

 合成燃料の製造プロセスは、CO2をCOに変換(逆シフト反応)し、COとH2①逆シフト+FT合成する方法が最もよく知られている。しかし、低コスト化をめざした製造効率の向上が課題である。そのため、②CO2電解+FT合成、③共電解+FT合成、④直接合成(Direct-FT)などの研究が進められている。

逆シフト+FT合成
 逆シフト反応に平衡制約があるため、600℃以上で触媒を用いた還元反応(CO2+H2→CO+H2O)にもH2を消費する。その後、触媒(Co、Fe)を用いFT合成反応((2n+1)H+nCO→CH2n+2+nHO)を行う。実用化されているが、目的の合成燃料の留分を高めるため、新たな触媒開発が必要。
CO2電解+FT合成
 CO2の電気分解(CO2→CO+1/2O2)に電力を直接用い、比較的低温で反応し製造コストが抑えられる。長時間安定的にCO生成できる電解装置の開発がポイント。その後、FT合成反応を行う。
共電解+FT合成反応
 共電解反応(H2O+CO2→H2+CO+O2)により、CO2と水の電解分解を同時に行うため効率よく合成ガス(CO、H2)を製造できる。高温で長時間安定的にH2、COを生成できる電解装置の開発がポイント。その後、FT合成反応を行う。
④直接合成(Direct-FT)
 逆シフト反応とFT合成反応を同時に実現する反応(nCO2+mH2→CnH2(m-2n)+2nH2O)で、逆シフト+FT合成に比べて効率よく製造できるが、新触媒を開発する必要があり基礎研究段階。

製造プロセスの関連技術

 2023年7月、日揮ホールディングス(HD)は子会社の日揮触媒化成が、2030年までにCO2と水素からつくる合成燃料の製造に使う触媒を量産すると発表。北九州事業所と新潟事業所の2工場に建屋を増設する。 

 2023年11月、日本ガイシは「eーメタノール」を高効率で製造する触媒を充填した反応器を開発する。メタノールは医薬品や衣料品のほか、ガソリン代替となる合成燃料の原料にもなる。2026年には化学メーカーやエネルギー企業と組みプラント設備に本格的に導入し、2029年の事業化をめざす。
 再生可能エネルギー水素とCO2を反応させて合成するが、副生成物の水を分離できるセラミック製リアクターを開発し、反応効率を2〜3倍に高め、消費電力量も従来の1/3程度に抑えた。 

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