夢のエネルギーとなるか?燃料電池

はじめに

 燃料電池も、いろいろな用途がある「夢のエネルギー」と喧伝され、水素を燃料として水しか排出しないことから「究極のエコエネルギー」と表されてきた。燃料電池は水素と酸素の化学反応(水の電気分解の逆反応)で電力と熱を発生させ、排出されるのは水(水蒸気)のみでCO2は発生しない。
FCCJ 燃料電池実用化推進協議会

 燃料電池が注目を集めたのは、1969年に人類初の月面着陸に成功した米国宇宙船アポロ11号にアルカリ型燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cell)(作動温度:250℃、圧力:3~4atm、出力:0.6~1.4kW、3台)が搭載されたことである。その後、スペースシャトルにも搭載されている。
CRDS-FY2016-FR-02_09.pdf (jst.go.jp)

 その後、日本では1970年代の2度の石油ショックを経て、1981年に開始された通商産業省「ムーンライト計画」(1993年以降は「ニューサンシャイン計画」)で、水力・火力・原子力に次ぐ第4の発電方式と位置付けて、燃料電池の開発が推進された。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/history4shouwa2.html

 1990年代にはリン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)が実用化段階に入り、天然ガス改質により作動温度:150~220℃で、システム発電効率:40~50%を達成し、当時世界最大となる出力:1.1万kW機を始めとした発電用プラントの実証試験が行われたが、失敗に終わった。

 また、産業用ではリン酸型燃料電池(PAFC)による出力:100~200kWのオンサイト発電(熱電併給)が行われた。しかし、ガスエンジンやディーゼルエンジンなどのコジェネレーションシステムに比べてコスト高であるため、補助金の消滅と共にメーカーの事業撤退が進んだ。
りん酸形燃料電池の現状と今後の展望 (jst.go.jp)

 一方、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten-Carbonate Fuel Cell)は、出力:1000kWのパイロットプラント(作動温度:600~700℃、システム発電効率:45~60%)を目指して開発が進められたが、国内では実用化に至っていない。現在、数MW規模の発電設備が欧米や韓国で稼働している。
21-02-011.pdf (hess.jp)

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