2024年11月、経済産業省は2023年度のエネルギー需給実績(速報)を公表した。「一次エネルギー総供給」は18,593PJで、前年度比で4.7%減少した。「一次エネルギー国内供給」17,550PJの内訳は、シェア80.8%の化石燃料が14.186PJで7.0%減少し、シェア19.2%の非化石燃料が3.364PJで10.6%増加した。
一次エネルギーの国内供給量
エネルギー供給とCO2排出
石油、天然ガス、石炭、原子力、水力、その他の再生可能エネルギー、バイオマスなど、自然から直接得ることができるものが「一次エネルギー」であり、海外からの輸入分を含めたものが「一次エネルギー総供給」と呼ばれている。国内備蓄量などを差し引いたものが、「一次エネルギー国内供給」である。
また、使い勝手の面から「一次エネルギー」を、電力、ガソリン・軽油燃料、水素などに加工・転換して利用する場合が増えており、これらは「二次エネルギー」と呼ばれている。実際に、石炭を使って発電する場合や原油をガソリン・石油などに精製する場合には、CO2排出が生じる。
消費者は、「一次エネルギー」と「二次エネルギー」の両方を使い、消費したエネルギーは「最終エネルギー消費」と呼ばれている。ただし、「最終エネルギー消費」には、「一次エネルギー」の輸送や「二次エネルギー」への加工・転換中に生じる損失分は含まれない。
したがって、「エネルギー起源CO2排出量」は、消費者が直接排出するCO2排出量の他に、「運輸部門」や「エネルギー転換部門」が排出するCO2排出量をカウントする必要がある。
一次エネルギーの国内供給
「一次エネルギー国内供給」は17,550PJで、前年度比4.1%減少した。内訳はシェア80.8%の化石燃料が14.186PJで7.0%減少し、シェア19.2%の非化石燃料が3.364PJで10.6%増加した。
化石燃料の内訳は、石炭が前年度比で8.4%減少、天然ガス・都市ガスが7.9%減少、石油が5.5%減少であり、いずれも減少した。
また、非化石燃料の内訳は、原子力が51.2%増加、水力は1.6%の減少、水力を除く再生可能エネルギーは5.5%で11年連続の増加、廃棄物発電などの未活用エネルギーは2.2%の増加である。
注釈:図中のエネルギー量は、エネルギー単位(ジュール)を使用。原油換算kℓlに換算する場合には、図中のPJ(ペタジュール:1015ジュール)の数字に0.0258を乗じることで、原油換算百万klとなる。
(原油換算:原油1リットル = 9,250kcal = 38.7MJ。1MJ = 0.0258リットル)。
2005年をピークに「一次エネルギー国内供給」は減少傾向を示している。これには化石燃料の減少の影響が大きく、非化石燃料は原子力が減少した分を再生可能エネルギーが補うかたち増減への影響は少ない。
2023年度の「一次エネルギー国内供給」の内訳からも明らかなように、化石燃料のシェアは80.8%と高いのが現状である。2050年カーボンニュートラルを達成するためには、「一次エネルギー国内供給」の抜本的な見直しが必要なことは自明である。
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