はじめに

はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅰ)

日本における主要電源は、1965年頃までは水力発電が主体であった。しかし、1973年の第一次石油危機までは石油火力発電が急増し、その後、石油に替えて石炭火力発電とLNG(液化天然ガス)火力発電、そして原子力発電が担い、高度成長を支えてきた。ところが、2011年の東日本大震災以降、「東京電力福島第一原子力発電所事故」により原子力発電の安全神話が崩れて急激に減少した。一時的に休・停止中の石油火力発電が稼働したものの、現在では再稼働の進まない原子力発電の不足分を、石炭火力発電とLNG火力発電が補っている。
はじめに

2023年度のエネルギー需要実績(Ⅳ)

日本は2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指し、さらに50%に向けて挑戦することを表明した。2013年度のCO2排出量は12.35億トンであり、46%削減の目標値は6.67億トン、50%削減の目標値は6,18億トンである。2023年度のCO2排出量は前年度比4.8%減少し、2013年度比で25.9%減少となる9.2億トンとなり、1990年度以降の最小を更新した。
はじめに

2023年度のエネルギー需要実績(Ⅲ)

2023年度の一次エネルギー供給は17,550PJで、前年度比で4.1%減少した。内訳はシェア80.8%の化石燃料が14.186PJで7.0%減少し、シェア19.2%の非化石燃料が3.364PJで10.6%増加した。2023年度の最終エネルギー消費は11,476PJで前年度比3.0%減少し、若干の凸凹でこぼこはあるが2005年度をピークとして年々減少している。
はじめに

2023年度のエネルギー需要実績(Ⅱ)

二次エネルギーへの加工・転換には、「一次エネルギー国内供給」の一部が使われる。2023年度の「一次エネルギー国内供給」は17,550PJであるのと比べて、「二次エネルギー」である石油製品生産量は5,510PJ、発電用のエネルギー投入量は8,545PJであることから、大きな割合を占めていることが分かる。
はじめに

2023年度のエネルギー需要実績(Ⅰ)

2024年11月、経済産業省は2023年度のエネルギー需給実績(速報)を公表した。一次エネルギー総供給は18,593PJで、前年度比で4.7%減少した。一次エネルギー国内供給17,550PJの内訳は、シェア80.8%の化石燃料が14.186PJで7.0%減少し、シェア19.2%の非化石燃料が3.364PJで10.6%増加した。  
はじめに

止まらない地球温暖化

 2025年1月 欧州連合(EU)の気象機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2024年の世界平均気温は観測史上最高となり、産業革命前(1850~1900年の平均)と比べて1.6℃上昇したことを公表した。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」で掲げる気温上昇幅の抑制目標である1.5℃を初めて単年で超えた。
はじめに

進み始めた日本のグリーン変革(Ⅲ)

「グリーントランスフォーメーション」を進めるための最大の課題は、非化石燃料電源への転換に要する膨大な投資費用であり、政府は今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資が必要としている。日本の部門別CO2排出量(2022年度、電気・熱配分前)は、エネルギー転換部門は40.5%、産業部門が24.4%、運輸部門が17.8%、業務その他部門が5.5%、家庭部門が4.8%、その他7%である。そのためグリーントランスフォーメーションは、エネルギー転換部門、産業部門、運輸部門が当面の対象となる。
はじめに

進み始めた日本のグリーン変革(Ⅱ)

岸田政権では、「グリーン成長戦略」は「グリーントランスフォーメーション(GX)」へと引き継がれて推進された。大きな前進は、GX実行の財源として、炭素税導入とCO2排出量取引などを「カーボンプライシング」と称して明示した点にある。研究開発資金をばら撒くだけでなく、その財源を集める手順を示したのである。
はじめに

進み始めた日本のグリーン変革(Ⅰ)

2020年10月の「2050年カーボンニュートラル」宣言に始まった日本のグリーンイノベーションは、菅政権の「グリーン成長戦略」から、岸田政権の「グリーントランスフォーメーション(GX)」へとつなげられ、①非化石燃料電源への変換と、②炭素税やCO2排出量取引の実現の2本仕立てで進み始めている。
エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅹ)

合成燃料(e-fuel)の普及のための最大の課題は低コスト化にある。特に、原料である再生可能エネルギー水素の低コスト化が不可欠で、遅れている再生可能エネルギーの導入が問題である。再生可能エネルギー電力の低コスト化が進めば、水電解で製造するグリーン水素の低コスト化も進む。合成燃料の製造プロセスは、原料も含めて国内で全て調達することが可能である。従来のように安易に海外から安価な水素の輸入を選択せずに、将来に向け国内製造による自給率の向上をめざす転機である。