火力発電

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火力発電の未来予測

ゼロエミッション発電を実現するためには、現行のLNGコンバインド・サイクル発電を経て、送電ロス低減に有効な小型分散型電源には水素燃料電池(SOFC)、中型電源は水素タービン/水素エンジン発電、大型電源は水素コンバインド・サイクル発電を実現する必要がある。一方、バイオマス発電所は基本的にCO2排出量が実質ゼロとみなされるが、将来的にはCCS設備を付帯して大気中のCO2を減らすネガティブ・エミッション発電所として増設が期待される。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅵ)

国際エネルギー機関(IEA)によると、直接に空気からCO2を回収するDAC設備はスイス、カナダ、米国など世界で18カ所に設置されており、CO2回収量は約1000トン/年である。2050年の温暖化ガス排出量を実質ゼロにするには、2030年に6000万トン/年のCO2を回収する必要があるとしている。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅴ)

2020年代に入ると、急速にバイオマス発電所へのCCS設備の導入が始まる。基本的にバイオマス発電所はCO2排出量が実質ゼロとみなされるため、付帯されたCCS設備が稼働すれば大気中のCO2を減らす「ネガティブ・エミッション(負の排出)」発電所となる。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅳ)

CO2を回収・貯留するCCSだけでは、地球温暖化問題に関する継続的な対策にはなり得ない。そのため、分離回収したCO2の有効利用(Utilization)は必須課題である。当初、欧米では石油増進回収(EOR)を目的としたCCS設備の設置が行われたが、最近では国内企業によるカーボンリサイクル(化学品、燃料、鉱物など)事業への参画が相次いでいる。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅲ)

三菱重工業を筆頭にCCS設備の技術開発で先行した日本であるが、火力発電所などへのCCS設備の導入に関しては一部の実証試験に留まっているのが現状である。一方、火力発電所にCCS設備を付帯した場合のコスト試算が行われ、石炭火力発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.55~1.9倍、LNGコンバインドサイクル発電所ではCCS設備の後付けで発電コストは1.44~1.55倍と、高コスト化が明らかにされている。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅱ)

国内でのCO2回収・貯留技術(CCS)の開発は、1990年の三菱重工業・関西電力による発電所のボイラ排ガスからのCO2回収に始まる。火力発電所に設置されるCCSには、ボイラ排ガスからCO2を回収する燃焼後(ポストコンバッション)方式と、燃焼前の燃料からCO2を回収する燃焼前(プレコンバッション)方式がある。 現在の主流はポストコンバッション方式で、既設の火力発電所にCCS設備が付帯され実証試験が進められている。
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CO2回収貯留とその有効利用(Ⅰ)

日本のCO2排出量は約12憶トン/年である。資源エネルギー庁によると、2050年カーボンニュートラルを実現するには、CCSによるCO2貯留量を1.2億~2.4億トン/年にする必要があるとし、2030年までに600万〜1200万トン/年のCO2を地下貯留する目標を掲げている。火力発電所や製油所などからCO2を回収し、船舶やパイプラインで国内外に輸送して貯留する構想で、2023年度にはCO2回収設備の設計や貯留地域の選定に向けた調査が進められる。今後、CO2貯留適地調査を進めて周辺住民の同意を得ること、貯留したCO2の有効利用が大きな課題である。
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何故、日本は石炭火力で批判されるのか?(Ⅱ)

NGO/NPO団体の気候ネットワークは、「次世代石炭火力発電(IGCC)が、今後 10 年で石炭火力発電の国際的な成長の主要な役割を果たすことはないだろう」と報告している。また、英国のシンクタンクのTransitionZeroは、日本が推進するアンモニア混焼や石炭ベースの石炭ガス化複合発電(IGCC)によるCO2排出量の削減効果は寡少であり、再生可能エネルギー発電よりも高コストのため、脱炭素化の解決策としては適切でないと報告している。
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何故、日本は石炭火力で批判されるのか?(Ⅰ)

日本が石炭火力発電で批判されるのは、欧州を中心に先進諸国が石炭火力発電の抑制・廃止する中で、依然として石炭火力発電を推進し、発展途上国での建設支援を続けているためである。高効率石炭火力発電でも、高効率LNG火力発電(GTCC)の約2倍の温室効果ガスを排出することから、国際的な脱炭素化トレンドに逆行する。日本政府は2050年カーボンニュートラル実現を宣言しているが、石炭火力発電の抑制・廃止には後ろ向きである
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次世代火力発電システムとは?(Ⅳ)

アンモニア(NH3)は液化水素の 1.5 倍の体積水素密度を有し、国内では直接燃料として使用することが検討され、IHIと三菱重工業により有害な窒素酸化物(NOx)を出さない燃焼法が開発されている。一方、欧米は水素キャリア(運搬媒体)としてのアンモニア利用に着目しており、将来的にアンモニア燃料による発電を電源構成に盛り込んでいる先進国は、日本と韓国の2カ国にとどまる。