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なぜか伸びない水力発電(Ⅴ)

FITにより水力発電の導入を推進する仕組みは徐々に出来上がったが、水力発電設備の累積導入量は頭打ちの状況にある。これはFITで推進している中小水力発電が出力:3万kW以下と小容量であり、総設備容量の約5000万kWに比べて寡少なためである。重要な問題点は、近年の水力発電電力量が減少していることである。最近では、2015年の871億kWhをピークに、それ以降は減少傾向を示し、第6次エネルギー基本計画の目標値である1023~1034億kWhの到達が見通せないことである。 (図10中の赤線が水力発電電力量)
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なぜか伸びない水力発電(Ⅳ)

 政府は、大水力の開発はほぼ終了しているとし、「流れ込み式による3万kW未満の中小水力の開発」を目標に設定した。しかし、そもそも太陽光発電や風力発電に比べて、中小水力発電の導入ポテンシャル(開発余地)は圧倒的に少なく、増設が困難であったのか? 
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なぜか伸びない水力発電(Ⅲ)

中小水力発電の設備利用率は50~58%で、地熱発電の49%で、風力発電の約22%、太陽光発電の約15%と比べてはるかに高く、電力貯蔵を必要としない特長を有する。また、水車と発電機は国内で調達することが可能であり、純国産エネルギーと位置付けられ、エネルギー自給率の向上に貢献する。そのため、政府は中小水力発電の積極的な導入をめざして、河川の水利使用許可の手続き簡素化と河川流況データや利水計画の情報公開を進めた。
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なぜか伸びない水力発電(Ⅱ)

一般水力発電は燃料を必要とせず、調整池式や貯水式では昼夜・天候を問わずに24時間の発電運転が可能である。中小水力発電の設備利用率は50~58%で、地熱発電の49%で、風力発電の約22%、太陽光発電の約15%と比べてはるかに高く、電力貯蔵を必要としない特長を有する。また、水車と発電機は国内で調達することが可能であり、純国産エネルギーと位置付けられ、エネルギー自給率の向上に貢献する。また、中水力発電の発電コストは11円/kWhと安く、大規模なLNG火力発電の10.7円/kWhとほぼ同等である。
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なぜか伸びない水力発電(Ⅰ)

国内における水力発電所の立地を考えた場合、新たにダムなどの大規模な土木工事を伴わない中小水力発電は、風力や太陽光と同様に設備を導入しやすい。国土交通省は2013年、河川環境や河川使用者に影響が出ないことを条件に、水力発電所の新設や増強に必要な取水量を増やす手続きを簡素化した。中長期指針となる第6次エネルギー基本計画では、総発電電力量に占める水力発電の割合を11%とし、設備の老朽化を念頭に置き、「既存設備のリプレース等による最適化・高効率化や発電利用されていない既存ダムなどへの発電機の設置などを進め、発電電力量の増加を図る」と明記した。しかし、水力発電は伸びない!
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伸び悩む地熱発電の現状(Ⅷ)

短期的には、小中規模バイナリーサイクルを地産地消の分散電源として拡大させる必要がある。しかし、既設の大規模地熱発電所については、経年的な発電効率の低下対策と老朽更新など「リパワリング」の推進が緊急の課題である。中期的には、大規模地熱発電所の新設を加速するために、経験豊富でファンドのしっかりした大手電力会社などを巻き込む動きが必要である。長期的には、強化地熱発電(EGS)の導入に向け、継続的な政府の推進・支援が必須である。
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伸び悩む地熱発電の現状(Ⅶ)

EGSは魅力的な発電システムであるが技術課題も多い。大深度のボーリング技術、高圧水による高温岩体への割れ目の導入、地中での水漏れ対策など実用化に向けて技術的なハードルは高い。実際に多くの問題に直面しているが、海外では長期的視野に立ち開発を継続している。
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伸び悩む地熱発電の現状(Ⅵ)

1980 年代には日本企業の世界シェアが90%であったが、2010年には日本企業のシェアが69%(三菱重工業:25%、東芝:24%、富士電機が20%)に減少し、オーマットのシェアは10%であった。現在、フラッシュサイクルに強い日本メーカーが世界シェアの6割強を占め、商機が拡大していると報じられた。確かに、東芝(シェア:24%)、三菱重工業(22%)、富士電機(20%)と高いシェアを有しているが、バイナリーサイクル専業のイスラエル系米国企業OEMAT(オーマット)のシェアが14%に上がっている。
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伸び悩む地熱発電の現状(Ⅴ)

1973年と1979年に起きた石油ショックを契機に、日本では石油代替エネルギーの開発が国家プロジェクトとして進められた。地熱発電もその一環で開発が推進されたが、ほかの再生可能エネルギーとは異なり、政府からの開発支援が1997年で途切れた。その結果、1997年に地熱発電の発電電力量はピークを示すが、その後の凋落ぶりは顕著である。地熱発電所の新設はわずかにとどまり、既設の地熱発電所の廃止・中止更新が続く。
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伸び悩む地熱発電の現状(Ⅳ)

タービン方式による地熱発電システムの現在の主流はオープンサイクルであり、生産井せいさんせいから得られる蒸気でタービンを回して発電し、仕事を終えた蒸気を復水器で水に戻し、還元井かんげんせいを通じて地中に戻す。一方、地上で加圧した水を地中に注入し、地中熱で加熱した後に、地上に戻して減圧することで蒸気化し、タービンで発電を行うクローズドサイクルが、次世代地熱発電の実証試験段階にある。