エネルギー

再エネ

再エネ出力制御の問題(Ⅰ)

電気は需要と供給のバランスがとれないと周波数が乱れ、大規模停電につながる恐れがある。再生可能エネルギーの供給量が増えると、電力会社は火力発電の出力抑制などの対応をとるが、それでも十分に対応できない場合は、太陽光や風力による電源を送配電網から遮断(買い取らない)する。出力制御は、2018年に九州電力管内で離島以外では初めて行われた。その後、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力管内でも実施された。2023年2月、東京電力は再生可能エネルギーで発電した電気の受け入れを一時停止する「出力制御」を行う検討を進め、政府はこれを了承したのである。
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期待される洋上風力発電とは?(Ⅲ)

国内で高いポテンシャルを有する風力発電であるが、有力な風力発電機メーカー(三菱重工業、日立製作所など)が撤退し、安価な中国製風力発電機の導入が現実のものとなってきた。日本は2030年までに総出力:1000万kWの目標を掲げるが、海外メーカーが占める割合は高いレベルで推移することは間違いない。エネルギーセキュリティーの上で重大な問題である。
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期待される洋上風力発電とは?(Ⅱ)

政府は、2014年に洋上風力のFIT買取価格を36円/kWhと陸上風力の22円/kWhに比べて高めに設定すると共に、未だ導入事例の少ない洋上風力を対象に導入促進区域を指定した。すなわち、2019年12月に長崎県五島市沖、2020年7月に秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖、2021年9月に秋田県八峰町及び能代市沖、「田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖、新潟県村上市及び胎内市沖、長崎県西海市江島沖を指定した。
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期待される洋上風力発電とは?(Ⅰ)

日本メーカーが開発で先行した太陽光パネルでは技術的な差異化が困難となり、中国勢のコスト競争力の前に大幅減産を強いられた。風力発電市場においても同じ轍を踏まないためには、他社にまねのできない技術的な差異化戦略を徹底することが求められた。日本の戦略は欧州勢が先行する「着床式洋上風力発電」に比べて費用対効果の大きい「浮体式洋上風力発電」を推進し、日本製風車を中心に国内市場を拡大する狙いであった。しかし、事業規模でまさる欧米メーカーにコスト競争で負け、国内有数の風力発電機メーカーが撤退したことで頓挫した。
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風力発電所の相次ぐ中止・撤退!(Ⅲ)

高いポテンシャルを有する風力発電であるが、三菱重工業、日立製作所など国内有数の風力発電機メーカーの撤退が相次いでいる。そのため国内の風力発電設備の累積導入量は、海外メーカー製が73.3%を占めており、今後も海外メーカーが占める割合は高いレベルで推移する。陸上風力発電に関してはゴールドウィンド、シノベル、ドンファン、ユナイテッドパワーなど中国メーカーの安値攻勢が始まり、新市場を大型風車の洋上風力発電に求めたが、再編成が進み規模で先行する欧州メーカーとのコスト競争に負けた結果である。
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風力発電所の相次ぐ中止・撤退!(Ⅱ)

世界の風力発電の設備容量は、2010年頃から年平均成長率17%で急増し、2015年から12%に落ちたものの、2021年末時点で8億3745.1万kWに達している。内訳は、陸上風力が7億8027.5万kW、洋上風力が5717.6万kWである。高いポテンシャルを有するものの、日本の風力発電設備導入量は2021年末時点で452.3万kWであり、世界の導入量の約0.5%と、大きく出遅れているのが現状である。追い打ちをかけるように、2020年から風力発電所の相次ぐ中止・撤退が報告されている。
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風力発電所の相次ぐ中止・撤退!(Ⅰ)

海外では一般的に風力発電は太陽光発電よりも導入が進んでいる。しかし、日本では太陽光発電が国内の年間発電電力量の9.5%に達しているのに対し、風力発電は2011年度と比べると約2倍に増加したものの0.9%で、年間発電電力量では太陽光発電の1/10以下にとどまっている。一方、日本の陸上風力ポテンシャルは出力ベースで1億4376万kWで、国内の全発電設備容量の70%にも達する。また、洋上風力ポテンシャルは出力ベースで6億784万kWで、国内全発電設備容量を超えて294%にも達する。何故、導入が進まないのであろうか?
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伸び悩む国内の地熱開発(Ⅱ)

地熱発電は稼働までに探査・掘削・設置、環境アセスメントなどに10年以上(平均14年)を要する。太陽光発電の1年、バイオマス発電の5年、風力発電の8年に比べて明らかに長期間である。そのため、長期的展望が不可欠である。一方、短期的には小中規模のバイナリー・サイクル地熱発電所は地産地消の分散電源としての拡大が必要であるが、既設の大規模地熱発電所について経年的な発電効率の低下対策と老朽更新など「リパワリングの推進」が緊急の課題である。
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伸び悩む国内の地熱発電(Ⅰ)

固定価格買取制度(FIT)の追い風を受け、多くの再生可能エネルギーによる発電電力量が伸びる中で、地熱発電は小規模設備の導入は進むものの累積導入量は約55万kWとほとんど増加せず、2021年度の総発電電力量に占める割合は0.3%にすぎない。地熱発電は、期待できない再エネなのか?地熱発電電力量は1997年をピークに年々減少傾向にあり、総発電電力量は3割程度減少している。これは生産井からの蒸気量の減少が主原因とみられるが、機器の経年劣化現象も知られている。地熱発電所の新設に注目が集まっているが、短期的には設備更新や老朽化対策への政府支援が重要である。
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太陽光パネルメーカーの縮小・撤退(Ⅱ)

日本はエネルギー自給率が12.1%と世界的にみても低い。これは石炭・石油・天然ガスなど化石燃料への依存度が高く、そのほとんどを輸入に頼るためである。その結果、輸入先の社会情勢や国家間の関係性などの影響を受け、現在も「電力ひっ迫」や「電気料金高騰」などに大きく影響している。エネルギー自給率を上げるためには、再生可能エネルギーの導入が有効であるが、その旗頭である太陽光発電について、自前の優れた太陽光パネル技術を有するにも関わらず、安価な中国製を導入しているのが現状である。国産パネルの保護・育成に向け、政策転換の潮時ではないか?