エネルギー

原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅳ)

漁業関係者らが心配していた枠を超え、日本全国が影響を受ける大きな風評被害が押し寄せてきている。高を括くくっていた政府は批判されて当然で、なぜ想定以上の風評被害に至ったのかを反省し、煽あおるのではなく、風評被害の沈静化に向けた対策を強化する必要がある。一方、タンタンクが減れば、廃炉作業で発生する放射性廃棄物の保管などの敷地が確保できる。次は、遅れ気味となっている核燃料デブリの取り出しである。並行して膨大な量の放射線廃棄物の処理と、高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場を決める必要がある。まだまだ、先は見えない。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅲ)

IAEAの専門家は「ALPS処理水を海水で希釈して行う東京電力の海洋放出計画は、一般の原子力発電所からの排水基準に合致している」と報告しており、必ずしも安全性を担保している訳ではない。また、賛意を示す専門家もトリチウムの海洋放出を安全とはいっていない。十分に希釈するので影響は少ないといっている。一方、海洋放出を危惧する専門家は、放射性物質や生態系に関する影響評価が不十分なため影響は予測できないためとしている。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅱ)

国内では処理水の海洋放出反対の抗議集会が各地で開催されている。また、福島県の住民や漁業関係者による国と東京電力に海洋放出停止を求めた訴訟が始まることが発表されている。近隣諸国からは、良好な外交関係を維持している国々からは、処理水の海洋放出には一定の理解を得たものの、中国、香港政府、マカオ政府からは水産物を中心に輸入禁止措置が発表された。
原子力

始まった原発処理水の海洋放出(Ⅰ)

2023年8月24日午後1時ごろ、東京電力は福島第一原発にたまる処理水を太平洋に放出する作業を開始した。放出完了には、30年程度という長期間が見込まれている。一端、原発処理水の海洋放出を始めたからには、東京電力は当事者として安全に細心の注意を払いながら、海洋放出を粛々と続ける必要がある。長期間にわたり絶対にミスは許されない。
原子力

福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅳ)

東京電力は、ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈して海洋放出すると公表している。政府には、処理水の海洋放出に関して風評被害を最小とする責務がある。
原子力

福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅲ)

2014年10月以降、汚染水は「サリー」でセシウムやストロンチウムを除去した後、「淡水化装置」を経て、多核種除去設備「アルプス」により、汚染水に含まれている62種の放射性物質が除去されている。しかし、アルプスではトリチウムが除去されていない。 2020年12月、構内に全容量が約137万m3のタンクの設置が完了した。ALPS処理水の貯蔵タンク基数は1046基であるが、現在はタンク容量の98%に達している。
原子力

福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅱ)

福島第一原発の事故では水素爆発で建屋が損傷し、炉内の燃料が溶け落ちて固まった燃料デブリが、今なお原子炉の底部に残っている。膨大な熱を発する燃料デブリは常に水で冷却し続ける必要があり、核燃料に直接触れることで高濃度の放射性物質を含んだ水、いわゆる高濃度汚染水となる。事故の1か月後には、この高濃度汚染水が海に流れ出していることが判明し、漏出経路の特定と遮断が最優先で進められた。
原子力

福島第一原発の処理水海洋放出(Ⅰ)

現在、福島第一原子力発電所からは、90トン/日の汚染水が発生する。これには地下水、海水、冷却水が含まれる。多核種除去設備(ALPS)でフィルター処理した水が、原発構内のタンクで保管されている。保管される処理水の量は130万トンを超え、保管場所がなくなりつつあると報じられた。そもそも、90トン/日の汚染水が発生するなら、すべてタンクに保管しても12年間で約39万トンである。何故、処理水の量が130万トンを超えているのか?
原子力

福島第一原発の処理水海洋放出問題とは

東京電力福島第一原子力発電所の事故により、日本産食品の輸入規制問題が起きている。13年目を迎えてた今でも、近隣諸国との間で完全解決には至っていない。それに加えて、昨今では福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出問題がクローズアップされている。日本産食品の生産者、特に水産食品の生産者にとっては、風評被害が再燃・拡大することに大きな危機感を抱かざるを得ないのが現状である。
原子力

日本産食品等の輸入規制について

 2023年7月、欧州連合(EU)が日本産食品に課している輸入規制を完全撤廃すると報じられた。EUは、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、日本産食品の規制を導入した。日本の食品安全性確保が進み規制は段階的に緩和されてきたが、現在も福島県産の魚や野生のキノコ類など計10県の一部食品を対象に放射性物質の検査証明書の添付を義務付け、そのほかの都道府県の産品でも一部に同様の証明書を求めるほか、規制地域外で生産したことを示す証明書が必要である。