エネルギー

原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅵ)

革新軽水炉が2030年代中頃に稼働するために大きな障害となり得るのは、GX脱炭素電源法で原発の60年超運転を可能にした制度である。安全対策などで建設コストが1兆円規模となる革新軽水炉への建て替えに対して、電力会社は1千億円規模で済む従来原発の運転延長を選択する可能性が高い。
原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅴ)

現在普及している軽水炉をベースに、新技術を導入した新型炉が「革新軽水炉」と呼ばれる。再生可能エネルギーとの共存のための出力調整機能の強化やテロ対策、福島第一原発事故を教訓とした自然災害への耐久性向上や溶融炉心対策や放射性物質放出防止などの過酷事故対策のための設計が盛り込まれる。
原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅳ)

1966年7月、日本で初めて日本原子力発電の東海発電所が商業用原子力発電所として営業運転を開始した。出力:16.6万kWのマグノックス炉が、英国GEと富士電機グループにより建設された。その後、ガス炉に比べてコンパクトで建設費が安い軽水炉の導入が始まり、米国GEから技術導入で沸騰水型原子炉(BWR)、米国WHからの技術導入で加圧水型原子炉(PWR)の設計開発が進められた。
原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅲ)

一口で原発といっても世界では多くの型式の原発が開発されている。日本で商用化されているのは原子炉容器内で原子炉冷却材である軽水が沸騰状態で使用される沸騰水型軽水炉(BWR)と、沸騰しないように加圧して使用される加圧水型軽水炉(PWR)の2種類である。
原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅱ)

2023年4月、宣言通りにドイツが「脱原発」を完了した。一方で、欧州の多くの国ではエネルギー安全保障を強化するため「脱ロシア」を念頭に置き、原発回帰の動きが活発化している。また、米国では35年振りに新規建設の原発が本格稼働を開始した。しかし、欧米での原発新規建設には、安全対策や様々なトラブルのために、想定外の工期延長と建設費用の高騰が生じている。
原子力

革新軽水炉はいつ稼働するのか?(Ⅰ)

2011年の福島原子力発電所事故により、原子力発電所の新規建設は急減し、その後、新興国における新規建設と先進国における経年炉の廃炉とがほぼ同等の状態が続いてきた。 2020年代に入るとCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」が国際的な課題となる中で、原子力発電を再評価する動きが出てきた。世界原子力協会(WNA)の原子力発電所運転実績レポート2023では、2022年の原子力発電量は合計2兆5,450億kWhで、2021年よりも1,000億kWh程減少したが、6年連続で2兆5,000億kWh以上を発電している。
再エネ

再生可能エネルギーの未来予測(Ⅵ)

老朽化した中小水力発電設備の補修やリプレースは、発電事業者には大きな費用負担であり、事業からの撤退の原因ともなっている。政府は既存設備のリパワーリングやリプレースによる高効率化を積極的に推進し、発電電力量の増大を図るための仕組み作りを行う必要がある。また、中小水力発電の導入拡大に関しては、地方自治体任せになっていないだろうか? 開発初期での流量調査や測量に関するコストが増大しており、今後、気候変動による流水量の変化を含め、政府としての積極的な支援により調査を進め、新規地点の開発を促進する必要がある。
再エネ

再生可能エネルギーの未来予測(Ⅴ)

本来、バイオマス発電は地産地消の分散型電源として期待されていた。重要なのは、バイオマス発電の原点への回帰である。そのためには「国内林業の活性化」が不可欠である。当然のことながら、地道な「ごみ発電」による発電量の増加(回収率向上、設備更新)の努力も忘れてはならない。
再エネ

再生可能エネルギーの未来予測(Ⅳ)

政府は2030年までに総出力:150万kWの目標を掲げるが、中小規模のバイナリー・サイクル地熱発電所を地産地消の分散電源として拡大させることが必要である。既設の大規模地熱発電所は、経年的な発電効率の低下対策と、老朽化更新によるリパワリングの推進が喫緊の課題である。
再エネ

再生可能エネルギーの未来予測(Ⅲ)

2023年9月に露見した洋上風力発電を巡る国会議員の汚職事件は、贈賄の疑いがある日本風力開発だけでなく、業界団体の日本風力発電協会(JWPA)も関与が疑われ、洋上風力代表企業の三菱商事が同協会を退会するなど、混乱は拡大を見せている。本件に関しては事実の解明を早急に進め、洋上風力発電所の導入拡大に影響を与えてはならない。