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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅵ)

高レベル放射性廃棄物を10万年も貯蔵するとなると、多くの国、地域で慎重となるのは当然である。事前検討を行っているが、10万年の間に何が起きるかは分からない。特に、火山・地震大国である日本では、どの地域であっても誰も10万年の安全・安心を保障することできない。
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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅴ)

高レベル放射性廃棄物の処分方法は、2000年から種々の検討が加えられてきた。しかし、肝心の最終処分場に関しては見通しが立たず、一時保管/中間貯蔵の状態が今後も継続する。都道府県レベルでは、どの自治体も「高レベル放射性廃棄物を10万年も貯蔵する」ことに関して否定的であることは容易に推し量れる。
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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅳ)

使用済核燃料の再処理工場の建設が30年超遅れたことで、電力会社の保有する原発内の貯蔵プールは、使用済核燃料で満杯状態にある。これを危惧した原発立地自治体の要請を受け、電力会社は独自に中間貯蔵施設の建設を開始した。しかし、これは問題の先送りに過ぎない。問題の根本は再処理工場の建設の遅れである。莫大な投資と30年超の長期間をかけても解決できない難しい技術なのであろう。
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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅲ)

使用済核燃料の「再処理工場」の操業が大幅に遅れている。1992年に建設を開始したがトラブル頻発により、2021年6月には総事業費が14.44兆円に膨らんだことを公表し、2022年9月には26回目となる工事完成の延期を発表。日本原燃は「2024年度のできるだけ早い時期の操業」を公表したが、見通しは?
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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅱ)

話題に上らないが、福島第一原発事故により発生した放射性災害廃棄物は消滅した訳ではない。地震や台風・大雨による放射性物質の流出が危惧される状況に置かれている。「指定廃棄物」は、2015年6月時点で約16万トンに達した。宮城、栃木、群馬、茨城、千葉に多く、政府は処分場をこの5県に1カ所づつ建設する表明したが、住民の反対で農地などに一時保管されている。また、「除染廃棄物」は、2014年9月に政府が福島県内に最長30年にわたり保管する総面積は16km2の「中間貯蔵施設」の建設を発表したが、最終処分場になるとの不安から反対が相次ぎで、福島県内各地の仮置き場に一時保管されている。
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遅れた放射性廃棄物の処理(Ⅰ)

1992年に建設を開始した軽水炉サイクルの中核である「再処理工場」は、トラブル続きで建設が大幅に遅れている。そのため、使用済核燃料の多くは原発内の貯蔵プールで仮保管されたままである。原発立地自治体からの要請で、電力会社が「中間貯蔵施設」への移設をめざしているが、施設の稼働も遅れている。また、2000年に始めた「高レベル放射性廃棄物処分場」は、高レベル放射性廃棄物を10万年も貯蔵するという難しい問題のため調査段階にあり、建設の見通しは立っていない。
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原子力の未来予測(Ⅳ)

英国、カナダ、ドイツ、フィンランド、スウェーデンなどは技術的な難易度、莫大な開発費用から、経済性が見出せないとし、使用済み核燃料を直接処分する方針を打ち出した。一方、日本は当初の計画をはるかに超えた再処理工場への投資や、原型炉「もんじゅ」の失敗にも懲りずに、高速炉の実証炉開発を目指しており、将来的には再び高速増殖炉の開発を指向している。莫大な費用を要する「核燃料サイクル」の開発を再開するには、より確実な見通しが必要である。
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原子力の未来予測(Ⅲ)

スケールメリットを発揮できる大型軽水炉と比べて、小出力の小型軽水炉(SMR)は発電単価で不利となる。期待が先行するSMRであるが、現在主流の大型軽水炉に置き換わるのは難しい。既に、2023年11月、米国ニュースケール・パワーは、西部アイダホ州で2029年稼働を計画していたSMR6基の建設中止を発表した。主な原因は経済性が見込めないためとされている。
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原子力の未来予測(Ⅱ)

2023年4月、宣言通りにドイツが「脱原発」を完了した。一方、欧州の多くの国ではエネルギー安全保障を強化するため「脱ロシア」を念頭に置き、原発回帰の動きが活発化している。また、米国では35年振りに新規建設の原発が本格稼働を開始した。一方、日本では原発の建て替えや新増設の有力候補として「革新軽水炉」の開発が進められている。従来の大型軽水炉を改良して安全対策を強化し、運転開始の目標時期は2030年代中頃である。既存技術の延長線上にあるため技術的な問題点が少なく、発電単価も安価になると期待されている。
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原子力の未来予測(Ⅰ)

原子力の未来予測を語る上で、福島第一原発の廃炉処理の問題を無視することはできない。廃止措置終了までの期間として30~40年後とされており、2050年頃である。鍵は燃料デブリの取り出しで、これらを完全に遂行して、ようやく原点に回帰できる。原子力発電は運転でCO2を排出しないため、ゼロエミッション発電の実現には有効である。しかし、重大事故を招かないための安全対策は不可欠である。福島第一原発事故を教訓として開発中の「革新軽水炉」を早期に実現し、従来の大型軽水炉の置き換えを進める必要がある。