ドイツ北西部の都市であるミュンスターの中央駅から市街地を通り抜け、冬日の中細長い形状のアーゼー湖に沿って小一時間ほど歩くと、ウエストファリア自然史博物館(Westfälische Museum für Naturkunde)に到着しました。
この自然史博物館には、ウェストファリア地方で発堀された多くのアンモナイト化石が展示されています。中でも、白亜紀後期の直径約1.8mのアンモナイト化石が著名で、「パラプゾシア・セッペラデンシス(Parapuzosia seppenradensis)」と名付けられています。
アンモナイトは、4億年前の古生代デボン紀から6千5百万年前の中生代白亜紀まで繁栄した頭足類で、イカやタコの仲間です。現在も生きているオウムガイに近く、殻を有する軟体動物で、外套腔内に取り入れた海水を漏斗から噴射することにより、ゆっくりと遊泳したと考えられています。
化石は生物が長い時間をかけて埋もれた地層の中で物理的・化学的に変形・変質したもので、現存している類似生物の情報を基に、発見された様々な化石の元の姿が類推されています。
例えば、アンモナイト類は現存のオウムガイに良く似た外殻性頭足類であるため、体の構造や生態について比較して議論が行われています。このパラプゾシアの化石では軟体動物が生息していた住房部が欠損し、最終隔壁が確認できることから、元の殻の直径は3mにも達すると推測されています。
この非流線型平滑平面巻の殻を有するパラプゾシアの実物大レプリカが、国内では倉敷市立自然史博物館(林原自然科学博物館より寄贈)と徳島県立博物館に保管されています。
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