Secretariat office

エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅳ)

合成燃料の製造プロセスは基本的に確立されている。すなわち、CO2をCOに変換(逆シフト反応)し、COとH2を①逆シフト+FT合成する方法である。一方で、低コスト化をめざした製造効率の向上が課題である。そのため、②CO2電解+FT合成、③共電解+FT合成、④直接合成(Direct-FT)などの研究が進められている。
エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅲ)

2022年9月、合成燃料の導入促進に向けた官民協議会が設置された。グリーンイノベーション(GI)基金とMEDO事業により、大規模かつ高効率な製造プロセスの開発を進め、2030年までに合成燃料の大規模製造プロセスの実証をめざすとし、大枠のロードマップが示された。2025年までにベンチプラントで1BPD(バーレル/日)、2028年までにパイロットプラントで300BPDを実証する。
エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅱ)

合成燃料(e-fuel)のメリットは、従来の内燃機関(エンジン)や既存の燃料インフラ(タンクローリー、ガソリンフタンドなど)を活用でき、導入コストを抑えられて、市場導入が容易な点である。また、化石燃料と同等の高エネルギー密度を有し、硫黄分や重金属分が少ないため燃焼排ガスにも不純物は含まれない。一方、デメリットは、現時点で原料となるグリーン水素の製造とCO2回収に費用を要するために、合成燃料は高価格であり、既存燃料と同じように、燃焼条件により有害なCO、NOxが発生する点である。
エネルギー

期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅰ)

運輸部門におけるCO2排出量の削減には輸送効率の改善が重要で、航空機、自家用乗用車、バス、自家用貨物車が対象となる。中でも長距離用のバスや自家用貨物車、EV化やFCEV化が困難な航空機については、液体燃料の脱炭素化(バイオ燃料、合成燃料)が選択肢の一つと考えられる。自動車用バイオ燃料➡航空機用SAF➡合成燃料(e-fuel)へと代替燃料の話題が急速に移行している。当初、合成燃料は電動化が難しい航空機や船舶向けが本命と考えられていたが、欧州連合(EU)の新方針を契機に、自動車での合成燃料の需要拡大を見込んだ開発競争が始まっている。
再エネ

石炭火力でのバイオマス混焼問題(Ⅳ)

国内の大手電力会社では、CO2削減を掲げて既存の石炭火力発電所でのバイオマス混焼発電を進めている。石炭火力発電所からのCO2排出量を出来るだけ少なく見せるという姑息な手段で、欧州の先進諸国からは、石炭火力発電所の延命策と受け取られている。国内で進められている石炭火力発電所の木質バイオマス混焼あるいは専焼の行きつく先は何処であろうか?
再エネ

石炭火力でのバイオマス混焼問題(Ⅲ)

2023年4月、環境NGO (90団体)が、「石炭火力発電のバイオマス混焼および専焼化は気候変動を加速させ、森林生態系を破壊する」として、「廃棄物以外の燃料を使うバイオマス発電を再生可能エネルギーの対象から外し、補助金等による支援を行わないこと」などを、政府に求める共同声明を発表した。大規模バイオマス発電や石炭火力発電の混焼に使われる木質バイオマス燃料は、大部分が東南アジアや北米からの輸入であり、森林破壊を招く可能性が高い。
再エネ

石炭火力でのバイオマス混焼問題(Ⅱ)

世界的な気候変動対策の強化により、2020年以降、欧州先進国を中心に「脱石炭火力発電所」が急速に進められている。米国は、石炭火力発電を低減して、豊富に産するシェールガスを燃料とするLNG火力発電への移行を進めている。「脱石炭火力発電」と「再生可能エネルギーシフト」で先頭を走る欧州では、環境NGOや専門家らが木材を原料とするバイオマス発電は、すべて再生可能エネルギーの枠組から除外すべきと訴え始めており、欧州委員会で活発な議論が始まった。
再エネ

石炭火力でのバイオマス混焼問題(Ⅰ)

現在、国内では「大型石炭火力発電所でのバイオマス混焼」が進められている。CO2排出量の削減対策も含めた電力安定供給のために重要な役割を果たしており、発電事業者の重要な収益源にもなっている。一方、海外先進国を中心に「脱石炭火力発電所」が進められており、国内外の環境NGOからは、日本が進める「大型石炭火力発電所でのバイオマス混焼」に関して否定的な意見が相次いでいる。なぜ石炭火力発電所でバイオマス混焼を行うのか?今後、バイオマス発電は、どのように展開するのか?環境NGOからの批判内容を明らかにして、バイオマス発電の未来を予測する。
再エネ

なぜか伸びない水力発電(Ⅷ)

「2050カーボンニュートラル」の実現に向け、既設の大水力発電所の「経年的な発電効率の低下対策」と「老朽設備の更新によるリパワリング」は喫緊の課題である。大手電力会社を巻き込んだ新設・更新の長期計画の策定とその遂行は不可欠である。一方、地産地消の分散電源として中小水力発電の期待度は高い。特に、小水力発電は研究開発段階にあるものも多く、固定価格買取制度による継続的な推進と支援が必要である。 
再エネ

なぜか伸びない水力発電(Ⅶ)

2012年7月に導入された固定価格買取制度(FIT)では、中小水力発電の買取価格が従来の3倍近くに設定されたことで、自家発電用の水力発電所を保有する企業が売電用水力発電所に大幅改修する動きが始まった。一方、小水力発電システムは、設備導入コストに比べて売電収入を十分に得られない場合がある。特に、低落差・少流水量の場合には発電量が不安定になり、長期の採算性に大きな影響を及ぼす。そのため、低落差・少流水量でも安定して発電できる各種の水力発電システムが開発が進められている。