2020年代におけるBEVシフト(Ⅲ)

自動車

中国メーカーの動向

上海汽車

 2021年に59万6000台を販売した上海汽車集団はBEV比率が21%で、自社で大衆ブランド「栄威」などのBEVを販売する。
 一方、米国GM・上汽通用五菱汽車との合弁会社で安価(約50万円)な「武陵宏光MINI EV」を開発し、42万4138台(総販売量の71.2%)を販売する。ブレーキの簡素化や、汎用の半導体などを活用するなど機能を絞り低価格を実現し、中国の地方都市を中心に売れている。

比亜迪(BYD)

 2020年7月、BEV比率が43%の比亜迪(BYD)は新型セダン「漢(Han)」(約400万円)を販売している。インテリジェント運転支援システム「DiPilot」を搭載し、自社開発リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP:LiFePO4)「ブレードバッテリー」を採用するなど高機能車が人気である。

 BYDは2015年に日本市場にEVバスを投入し以来、高いシェアを有しており、2022年5月には新形車両(航続距離:大型270km、小型220km)を開発している。

 2022年8月、BYDはEV専用プラットフォームの最新世代「e-Platform 3.0」を採用し、ボディータイプの異なる3車種の乗用車を2023年から順次に発売する。日本仕様車の標準グレードは、車両寸法:全長4290×全幅1770×全高1550mm、蓄電池容量:44.9kWh(LFP蓄電池)、航続距離:386kmである。

長城汽車

 BEV比率が11%の長城汽車は2021年6月にタイ工場を稼働し、生産車のすべてをHEVなどの電動車とし、2023年頃からBEVを製造する方針を示している。2022年3月には、小型EV「オラ・グッドキャット」(安価モデルで約300万円)の販売を開始している。

その他

 アフリカで中国製の商用BEVの輸入が増加し、東風汽車のピックアップトラックEVはガーナで、BYDのEVバンはジンバブエケニアで販売されている。欧州でも中国製BEVへの信頼感が徐々に高まっている。商用BEVは走行ルートと充電拠点を固定化しやすく、乗用車BEVより普及が早いと考えられる。

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