第6次エネルギー基本計画で掲げられたエネルギーミックス(再エネ比率:36~38%)の実現に向け、政府の「GX実現に向けた基本方針」では、再生可能エネルギーを主力電源と位置付け、最優先の原則で最大限に取り組むとしている。
2030年の目標として太陽光発電が103.5~117.6GW、風力発電は陸上風力が17.9GWと洋上風力が5.7GWに対し、地熱発電は1.5GW、中小水力が10.4GW、バイオマス発電が8GWと設定された。変動性再生可能エネルギーの導入拡大により、今後、電力貯蔵の重要性が益々高まる。
再生可能エネルギーの未来予測
ゼロエミッション発電を実現するためには、再生可能エネルギーの増設は不可欠である。しかし、太陽光発電や風力発電のように、気象や季節によって出力が変動する変動性再生可能エネルギー(VRE:Variable Renewable Energy)と、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電は区別される。
変動性再生可能エネルギーは、系統に接続する場合に出力変動を平準化する必要がある。この出力変動を主にCO2を排出する火力発電で調整しているのが現状である。どう考えても疑問で、太陽光発電や風力発電を増設するには、電力貯蔵や送電網による平準化対策の増強が不可欠である。
火力発電で出力変動への対応が十分できない場合、電力会社は太陽光発電や風力発電による電力を一時停止(買い取らない)する出力制御対策が行われている。現在、太陽光発電の大量導入が進む九州電力や中国電力では、平準化対策が遅れたことで出力制御が頻発する問題に直面している。
一方、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電のように、非変動性再生可能エネルギーについては、平準化対策は不要なためベース電源として好ましい。しかし、発電所の立地や燃料供給などの問題から、遅々として増設が進まないのが現状である。
2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画でも、2030年の野心的な目標として太陽光発電が103.5~117.6GW、風力発電は陸上風力が17.9GWと洋上風力が5.7GWに対して、地熱発電は1.5GW、中小水力が10.4GW、バイオマス発電が8GWと低い目標設定となっている。
現在、エネルギー源は、一次エネルギーから二次エネルギーへ移行する過渡期にある。CO2ゼロを実現するには、再生可能エネルギーで発電した電力、その電力で製造したグリーン水素・グリーンアンモニア、カーボンリサイクルで製造された合成燃料(e-fuel)の供給を基本とすべきである。
未だ国内の再生可能エネルギー電力の価格は世界に比べて割高であり、低コスト化が必須課題である。これが実現できなければグリーン水素、グリーンアンモニア、合成燃料(e-fuel)も、低コストで十分な供給量を確保することが困難である。
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