2010年代のFCEVとBEVの開発競争(Ⅴ)

自動車

燃料電池トラック

 燃料電池トラック(FCトラック)は三菱ふそうトラック・バスいすゞ自動車日野自動車の大手3社が、FCEVで先行するトヨタ自動車、本田技研工業との共同開発などで進めているが、2022年においては実証試験の域を出ていないのが現状である。

 2019年10月、三菱ふそうトラック・バスは東京モーターショーで小型FCトラック「Vision F-CELL」を公開し、翌2020年には小変更を加えたコンセプトモデル「eキャンター F-CELL」を発表した。

 2020年1月、いすゞ自動車は本田技術研究所と、FCトラックの共同研究契約を締結した。2022年秋にはFCトラック(25トン)を公道で試験走行させる計画で、水素充填時間:約3分/回程度、航続距離:約600km、高速道路など首都圏で長距離を走行した場合の安全性を確認する。
 水素ステーションの整備など、条件がそろった段階で量産し、早ければ2030年の実用化を目指す。商用車であれば走行ルートが決まり水素ステーションの設置が容易と考えられる。

 2020年3月にはトヨタ自動車と日野自動車が、大型FCトラックの共同開発と走行実証に取り組むと発表した。「日野プロフィア」(FR1AWHG、25トン)をベースに、新型MIRAIのFCスタック:2基搭載、大容量水素貯蔵タンク:70MPaを開発し、フル充填時の航続距離:600kmを目指す。
 2020年10月にはアサヒグループホールディングス、西濃運輸、NEXT Logistics Japan(NLJ)、ヤマト運輸、トヨタ自動車、日野自動車の6社が、トヨタ自動車と日野自動車が開発した大型FCトラックの走行実証を2022年春頃から行うことで合意している。
 2021年8月には、セブン‐イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートが、店舗への配送車両について、新型「小型FCトラック」導入して実証実験を行うことを発表した。

 2022年7月、トヨタ自動車は小型FCトラックを日野自動車、いすゞ自動車と2023年1月を目指して共同開発すると発表している。小型トラックはスーパーやコンビニなどの物流に使われ、長時間・長距離の走行性能が求められる一方、短時間での燃料補給が必要なため、FCEVが有効としている。

 一方、2021年4月、オーストリアのエイヴイエル(AVL LIST)は、開発中であるトラックやバス向けHytruck燃料電池システム(出力:150kW)に、IHIが開発中の電動ターボチャージャー(ETC/Electric Turbocharger)を搭載することを発表している。

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