2010年代のFCEVとBEVの開発競争(Ⅳ)

自動車

燃料電池バイク

 燃料電池二輪車に関しては、2004年8月、本田技研工業が軽量・コンパクトな燃料電池システム「Honda FC STACK」を搭載したFCバイクを開発している。
 2006年10月には、ヤマハ発動機もFCバイク「FC-AQEL」(エフシーアクエル)を開発しており、いずれも固体高分子型燃料電池(PEFC)を採用し、高圧水素タンクを搭載している。
 スズキは「バーグマン フューエルセル スクーター」(空冷式固体高分子型燃料電池、容量:1.6kW、70MPaの高圧水素タンク搭載)を開発し、2009年から英国ラフバラ、2011年から北九州市で実証試験、2017年3月に型式認定を取得して公道走行を開始している。

 しかし、いずれのFCバイク/スクーターも実証試験の域を出ず、販売には至っていない

燃料電池バス

 2011年、トヨタ自動車と日野自動車が、燃料電池(FC)ハイブリッドバスの開発を発表した。高圧水素ガス(35MPa)を燃料とするPEFC(出力:90kW×2台)と、ニッケル水素電池を動力源としてモーターを駆動するハイブリッドシステムである。
 日野自動車は、東京都の支援を受け2015年に都営バによる実証試験を行っている。

 2017年2月、トヨタ自動車がMIRAIに搭載するトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を採用した「トヨタFCバス」を、東京都交通局に1億円で納車している。PEFC(出力:114kW×2台)と高圧水素タンク(70MPa、600L×10本)を搭載し、航続距離:200kmであった。

 2018年3月には、図5に示すFCバス「SORA」型式認証を取得し、販売を開始した

図5 トヨタ自動車の燃料電池バス「SORA」

 2018年9月には、京浜急行バスがFCバス「SORA」の導入を決め、2019年春からお台場地区(東京都港区、品川区、江東区)で運行を開始している。蓄電池も搭載しており、非常時には最高出力:9kW、供給電力量:235kWhである。非常時などには、外部への電力供給も可能である。

 FCバスの普及台数は、2021年3月末で合計104台(内都営バス70台)に達している。

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