2023年度のエネルギー需要実績(Ⅱ)

はじめに

 二次エネルギーへの加工・転換には、「一次エネルギー国内供給」の一部が使われる。2023年度の「一次エネルギー国内供給」は17,550PJであるのと比べて、「二次エネルギー」である石油製品生産量は5,510PJ発電用のエネルギー投入量は8,545PJであることから、大きな割合を占めていることが分かる。

二次エネルギーへの加工・転換

 2023年度の「一次エネルギー国内供給」は17,550PJで、前年度比4.1%減少した。内訳はシェア80.8%の化石燃料が14.186PJで7.0%減少し、シェア19.2%の非化石燃料が3.364PJで10.6%増加した。二次エネルギーへの加工・転換には、この「一次エネルギー国内供給」の一部が使われる。 

石油精製の場合

 ガソリン・軽油・重油などの「石油製品生産量」は、2023年度は5,510PJで前年度比7.2%減少しており、2010年度以降で最小となった。主力のガソリンは1,468PJで前年度比4.6%減少し、軽油は1,351PJで9%減少し、重油は1,017PJで9.8%減少と、いずれも減少傾向にある。

 原料となる「一次エネルギー国内供給」の化石燃料は14.186PJと比べ、2023年度の石油製品生産量は5,510PJであることから、石油精製の歩留まりを考慮すると大きな割合を占めていることが分かる。 

発電電力量の場合

  「一次エネルギー」の電力への転換では、発電用のエネルギー投入量(PJ)➡発電電力量(億kWh)の変換が行われる。原料となる「一次エネルギー国内供給」の化石燃料は14.186PJと比べ、2023年度の発電用のエネルギー投入量は8,545PJであることから、大きな割合を占めていることが分かる。

  火力・原子力・再生可能エネルギーなどの「発電電力量」は、2023年度は9,854億kWhで前年度比1.6%減少しており、2010年度以降で最小となった。火力発電の化石電源比率は68.6%と依然として高いが、原子力・再生可能エネルギーの非化石発電比率は東日本大震災以降で最大の31.4%まで上昇した。

 化石電源の内訳は、石炭が2842億kWhで前年度比8.0%の減少、天然ガスが3241億kWhで4.2%の減少、石油等が716億kWhで14.7%の減少と、いずれも減少傾向にある。

 一方、非化石電源の内訳は原子力が841億kWhで前年度比49.9%の増加⽔⼒が748億kWhで2.4%の減少、太陽光が965億kWhで4.2%の増加、⾵⼒が105億kWhで12.9%の増加、地熱が34億kWhで14.1%の増加、バイオマスが401億kWhで7.8%の増加である。  

図4 エネルギー転換部門の発電電力量  出典:経済産業省

 2023年度の火力発電のシェアは68.6%に減少した。CO2排出量の多い老朽火力発電所(石炭と石油)の休廃止によるものである。しかし、2023年度は夏季・冬季共に、全エリアにおいて安定電力供給に最低限必要な予備率3%を確保でき、節電要請は出されなかった。

 再生可能エネルギー発電のシェアは22.9%に増加した。その内訳は太陽光発電が9.8%で前年度比4.2%増加、水力発電が7.6%で2.4%減少、バイオマス発電が4.1%で7.8%増加、風力発電が1.1%で12.9%増加、地熱発電が0.35%で14.1%増加である。出力変動の大きい太陽光発電に偏り、水力発電の減少が、今後の課題である。

 原子力発電のシェアは8.5%に増加した。2023年8月には関西電力高浜1号機(PWR、82.6万KW)、同年10月には関西電力高浜2号機(PWR、82.6万KW)が相次いで再稼働した。しかし、定期点検や司法判断などによる休停止で、2023年の国内原子力発電所の平均設備利用率は28%と極めて低い状況にある。

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