なぜか伸びない水力発電(Ⅵ)

再エネ

 2000年代に入り、欧米と日本における大規模水力発電所の開発はほぼ完了した。水力発電市場は豊富な水力資源を有する開発途上国の中国、インド、北米、ブラジルなど中南米へと移行した。
 そのため、水力発電システムのメーカー集約化が進み、オーストリアのAndritz(アンドリッツ)、米国General Electric(GE)、ドイツのVoith hydro(フォイト)の欧米企業と、中国のハルピン電機集団東方集団が、世界シェア上位を占める現状に至った。

水力発電メーカーの動向

 現在、世界的には豊富な水力資源を有する中国、インド、北米、ブラジルなど中南米での水力発電市場は、引き続き成長が見込まれており、水車メーカーでは集約化が進み海外展開が進められている。

 現在、水力発電システムの主力メーカーは、オーストリアのAndritz(アンドリッツ)、米国General Electric(GE)、ドイツのVoith hydro(フォイト)の欧米企業と、中国のハルピン電機集団東方集団が世界シェア上位を占めている。
 一方、国内メーカーは、日立三菱水力東芝が高経年化した大水力の新設と設備更新、富士電機明電舎が中小水力の新設を中心に事業展開を進めている。

水車メーカーの集約化

 2000年代に入り欧米企業間でM&Aによる集約化が始まった。まず、VoithグループSiemens(ジーメンス)の発電機部門が合併し、2009年4月には「Voith hydro」に名称変更。
 スイスのSulzerの水力事業部門は、オーストリアの発電機メーカーVA-Tech と合併し、VA-Tech Escher Wisshydroを設立した。その後、「Andritz」は2006年にVA-Tech hydro、2008年にGE Hydroの水力発電事業を買収した。 
 2015年11月、米国GEはフランスのAlstomと再生可能エネルギー(洋上風力・水力)事業の統合をめざして合弁会社を設立したが、2018年10月にはGEに移管された。

 一方、国内では1997年9月、ドイツのVoith Hydroと富士電機は共同出資して「富士・フォイトハイドロ」を設立し、2011年4月に荏原製作所の水車事業部門を買収した。
 また、2011年10月、日立製作所、三菱電機、三菱重工業が、「日立三菱水力」に水力発電システム事業を統合した。また、同年10月には「東芝」「明電舎」が、中小型水力発電システム分野の強化を目的に、業務・技術提携に関する基本契約を締結した。

 そのほか、出力:1万kW以下の小水力発電を対象とした国内メーカーは、福島県福島市の「中川水力」、山形県天童市の「芦野工業」「協和コンサルタンツ」、神奈川県厚木市の「田中水力」などがあげられる。水力発電設備の設計製作から据付、その後のメンテナンスを手掛けている。 

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