世界的な脱炭素化の流れを受けて、発電時に温室効果ガスを排出しない原子力発電に再び注目が集まり、次世代型原子力発電所の建設計画が世界各地において動き始めている。電力需給のひっ迫を受けて、いずれ原子力発電の再稼働が加速されるのであろう。
また、小型原子炉(SMR:Small Modular Reactor)の開発競争が熱を帯びている。SMRは電気出力:30万kW以下で、主要部品を工場内で製造することにより工期短縮や初期投資を抑えられ、小型化・低出力化することで炉心の自然冷却が可能となり安全性も高まると考えられている。
2011年の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機に、世界的な脱原子力発電所の流れを受け、電気出力:100万kWを超える大型軽水炉の新設が困難になった。加えて、CO2の排出量削減の観点から世界的な脱石炭火力発電所の流れが加速しており、SMRの実現を後押ししている。
現時点で、SMRの設置を検討しているのはカナダ東部、米国中部、フランスなどで、火山帯から外れ、地震や津波、台風などの大規模な自然災害が極めて少ない国や地方である。日本は全土が環太平洋火山帯に位置し、火山の噴火、地震・津波、台風など想定外の自然災害を毎年被る国なのである。
2021年10月、第6次エネルギー基本計画では「東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した我が国としては、2050年カーボンニュートラルや2030年度の新たな削減目標の実現を目指すに際して、原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」と表明したのである。
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