再エネ

常態化する再エネ制御とその対策(Ⅲ)

2023年4月8日(土)、中部電力パワーグリッドは再エネ発電事業者に対して出力制御の指示を出した。中部電力のように電力需要が大きい大都市を抱えるエリアで起きたことで注目を集めた。再エネ制御は発電した再エネを捨てることであり、実にもったいない話である。再エネ制御を減らす方策はないのか?中部電力パワーグリッドの例を参考に考えてみる。
再エネ

常態化する再エネ制御とその対策(Ⅱ)

この再エネ制御は、2018年10月13日(土)に九州電力エリアで離島以外では初めて行われた。2022年以降、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力、北海道、東北エリアでも実施された。抜本的な対策が遅れたことで、「再エネ制御」の常態化が始まり、再生可能エネルギーの導入意欲が削がれている。実際には東京電力エリアでは、2024年度までは「再エネ制御」は起きていない。しかし、毎年、東京電力は「再エネ制御」が起きる可能性を発表しており、いつ起きても不思議ではない状況にある。 
再エネ

常態化する再エネ制御とその対策(Ⅰ)

電力は「需要」と「供給」のバランスがとれないと周波数が乱れ、大規模停電につながる恐れがある。出力変動の大きな太陽光発電などの供給量が増えると、電力会社は火力発電の出力抑制などの対応をとるが、それでも十分に対応できない場合は、太陽光発電や風力発電による電力を一時停止(買い取らない)する。この再エネ制御は、2018年10月13日に九州電力エリアで離島以外では初めて行われた。2022年以降、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力、北海道、東北エリアでも実施された。抜本的な対策が遅れたことで、「再エネ制御」の常態化が始まり、再生可能エネルギーの導入意欲が削がれている。
原子力

事故耐性燃料の開発(Ⅴ)

現在、開発が進められている事故耐性燃料(ATF)の主体は、過酷事故(Severe accident)を本質的に防ぐものではない。福島第一原発事故を顧みて、ジルカロイ燃料被覆管に起きた事象を遅らせる対策であることを忘れてはならない。今後、この遅らせる効果を定量的に把握し、耐環境コーティング開発に反映させる必要がある。加えて、燃料自体に課せられた「燃料中心温度の低下や、放射性物質の保持性能を向上させる」概念の開発についても海外燃料メーカーの情報収集に基づく開発加速が重要である。
原子力

事故耐性燃料の開発(Ⅳ)

国内におけるATF開発動向 ATFの実用化開発は、欧米、特に原子力規制委員会も含めた米国の動きが飛び抜けている。また、国内には軽水炉環境を模擬した条件での照射試験ができないため、国内でATF燃料被覆管のサンプルを製造しているが、放射線照射試...
原子力

事故耐性燃料の開発(Ⅲ)

現行のジルカロイ被覆燃料棒に比べて耐熱性に優れた事故耐性燃料(ATF)は、水素爆発や炉心溶融など過酷事故の発生・拡大を抑える効果が期待できる。そのため、既に米国では商用炉を用いた照射試験が行われており、中国、ロシア、フランス、韓国なども開発に乗り出している。短期的なATF概念として、燃料被覆管に「Crコーティング・ジルカロイ」、燃料ペレットに「酸化物ドープ・ウラニア」、長期的なATF概念として、燃料被覆管に「FeCrAl(-ODS)改良ステンレス鋼」、「SiC/SiC複合材料」、燃料ペレットに「窒化ウラン(UN)」、「ケイ化ウラン(U3Si2)」があげられている。
原子力

事故耐性燃料の開発(Ⅱ)

福島第一原発事故の経緯から、燃料被覆管には「高温水や水蒸気との酸化発熱反応が起き難い材料として水素発生速度を遅らせ、より耐熱性に優れた材料とする」こと、燃料自体にも「燃料中心温度の低下や、放射性物質の保持性能を向上させる」ことが、事故耐性燃料(ATF)の基本概念として提案された。2018年、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の軽水炉に関するATF専門家グループ(EGATFL)による会合(2014~2017年)で、ATF候補概念が検討され候補材料が示された。
原子力

事故耐性燃料の開発(Ⅰ)

2011年3月、東京電力福島第一原子力発電所では、東日本大震災の津波を受けて「炉心溶融」という重大事故(SA:Severe Accidentt)を引き起こした。原子炉建屋の一部が水素爆発で吹き飛び、多量の放射性物質を大気中に放出した。今でも損傷した炉心の冷却を続けており、高レベル汚染水を排出し処理を続けている。このような重大事故を二度と起こさないために、各国ではプラントメーカーと協力して様々な安全対策を打ち出し研究開発を進めている。中でも、「事故耐性燃料(ATF:Accident Tolerant Fuel)」の開発は世界的なトレンドとなり、2030年以降の早期実現をめざして開発が進められている。
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅺ)

2023年度の国内総生産(GDP)は、物価の影響を含めた名目GDPが前年より5.7%増えて591.4兆円に達した。 しかし、米ドル換算では1.1%減の4.2兆ドルで、ドイツの4.4兆ドルに抜かれ、世界4位に転落した。円安を何とかしないと、2024年度はインドにも抜かれるとの報道が流れている。
はじめに

脱炭素に向けた発電電力量の推移(Ⅹ)

FIT制度が導入された2012~2015年、バイオマス発電の発電電力量の年平均伸び率は4%程度で推移し、2016年以降は、年平均伸び率は14.8%と高い値を示している。バイオマス発電の買取実績は太陽光発電、風力発電に次いで多く、堅調な導入が進められている。年平均伸び率14.8%で発電電力量が増加を続けた場合、2030年には1054億kWhに到達する。これは、第6次エネルギー基本計画で目標とした総発電電力量(9300~9400億kWh)の5%とするバイオマス発電の電力量(465~470億kWh)の2.2~2.3倍になる。